SNSブームを巻き起こして国内最大手の地位を確立し、「mixi」開始後わずか2年半で株式を上場したミクシィ。創業者であり社長の笠原健治氏は、時代の寵児となった。「Twitter」が流行り、SNSが話題になる環境ではない今も、着実にユーザー数は伸びている。ブームは去ったが、最大手企業は伸び続けている。中期目標は、「国内で二人に一人をユーザーにすること」。挑戦的な計画の達成に向けて、ミクシィは新たなスタートを切っている。
“人と人とのつながり”を追求
──SNS「mixi」を立ち上げ、7月末時点でユーザー数は2000万人を超え、月間ページビュー(PV)は300億弱に。わずか6年半の期間で巨大なソーシャルメディアをつくり上げました。
笠原 実生活のなかで人々がプライベートなコミュニケーションを取るのはごく当たり前の行動。でも、「mixi」が生まれる前は、それをネットで実現する環境はありませんでした。だから、私は「mixi」を立ち上げたのです。気心知れた人とインターネット上で心地よくコミュニケーションが取れる空間をつくりたい、と。この考え方は、これまでの過程のなかで変わらなかったし、今後も変化することのない、われわれが大切にしているコンセプトです。実現するための分かりやすいサービスを、われわれは「mixi」で提供した。それが、ユーザーに受け入れられたんだと思います。
──ブログにSNS、そして今はTwitterと、多くの人に支持されるソーシャルメディアは瞬く間に移り変わる。笠原さんの“ソーシャルメディア進化論”を聞かせてください。
笠原 う~ん…、なかなか難しいですね。当社はインターネットという空間とは別の環境として、ソーシャルメディアを位置づけています。サーバーとサーバーがつながり、無限の空間をもつのがインターネットならば、人と人がつながり感情を通い合わせるコミュニケーションの場がソーシャルメディアだと思っています。
そのなかで、ユーザーが情報を得たりコミュニケーションを図ったりする手段として、ソーシャルメディアは今以上に重要になります。さまざまなネットメディアがもっとソーシャライズ化するはず。ソーシャルメディアを利用するユーザーも増え、検索エンジンからではなく、ソーシャルメディアから情報を得る機会が増えてくるでしょう。
──ミクシィが果たす役割は?
笠原 ネットサービスに何でもかんでも手を出すつもりはありません。先ほど言いましたように、われわれは人と人とのつながりを豊かにするサービスの提供に、リソースを集中していきます。
追求したのは、心地よいコミュニケーションの場。
実生活では当たり前の人とのつながり。
それをネット上でもやりたかった。
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