日本のインターネット接続ビジネスの草分け、インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2011年度(12年3月期)、創業以来初の1000億円の売上高に挑戦している。アウトソーシングサービスの堅実な成長や、高速ワイヤレス通信インフラの急速な需要拡大──。IIJの鈴木幸一社長は、これから先、「従来とは異なる大きな事業成長」を見込んでいる。
「IIJ GIO」の売上比率を10%に高める
――今年度の御社の売上目標は、1000億円と聞いています。昨年度に比べておよそ175億円の増加となります。どのようにして稼いでいくのでしょうか。
鈴木 昨年度は、2010年9月に子会社化が完了したIIJグローバルソリューションズが携わるWANサービスや、サーバーの運用や監視などのアウトソーシングサービスをはじめとして、売り上げの約8割を占めるストックビジネスが堅調に伸びてきました。これを踏まえて、2011年度は、新しい事業を開始したりするのではなく、前年度の延長線として、WANサービス/アウトソーシングサービスの事業拡大をベースとするかたちで、売上高1000億円を達成したい。
――今年度は、昨年に提供を開始したクラウドサービス「IIJ GIO」の黒字化と、それに伴う売上高への貢献度の向上を目指すと理解すればいいでしょうか。
鈴木 「IIJ GIO」は、伸びが当初の想定を上回っており、順調なスタートを切りました。導入案件がこれまで約430件に増えてきており、今年度、若干ながらの黒字化を見込んでいます。
「IIJ GIO」の今年度の売上目標は、昨年度の6億円を30億円へ引き上げることです。ただし、利益率は、サービス展開のプラットフォームを構築するための投資などを行う必要があるので、今年度はまだ高くなる見込みではありません。当社は、2013年をめどに、「IIJ GIO」の売上構成比を現在の3%から10%に拡大することを目指しており、来年度からは、利益に関しても貢献度が高まるとみています。
――「IIJ GIO」の需要拡大を見込んで、今年4月に、島根県松江市に「松江データセンターパーク」を開設されましたね。
鈴木 松江データセンター(DC)の開設は、「IIJ GIO」の伸びに応えるための設備計画の一環です。今年度の上期に、「IIJ GIO」用のサーバー3000台を追加導入し、下期には需要見合いでさらに追加の導入を検討していきます。用地が広く取れるといった、地方の利点を生かした松江DCでは、迅速に拡張することができ、大幅なコストダウンを図ったサービスを提供できます。当社は松江DCを利用して、「IIJ GIO」の低価格のコアサービスを、年内に提供したい。
当社は、松江DCに加え、グループ会社のネットケアと一緒に、7月1日に大阪市中央区に「高津データセンター」を開設したばかりです。さらに、夏には東京にも新しいDCを開設するなど、IIJグループでDCの新設に力を入れています。
――東日本大震災が発生した後、西日本へのDC移設が盛んになり、DCの“首都圏離れ”が進んでいます。こうした流れに逆らうようにみえますが……。
鈴木 私どもは、東京が他の地域と比べてリスクが高いという見方はしていません。日本経済の中核であり、数多くのユーザー企業が本社を構える東京にDCを備えることには、大いに意義があると捉えています。当社は、DCを一方的に非首都圏に移設するのではく、DCを東京と地方に分散させるという、DC戦略の二極化を進めていきます。
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