その他
IIJの鈴木社長、DCの首都圏離れに異論
2011/07/14 21:07
週刊BCN 2011年07月11日vol.1390掲載
「東京は(他の地域と比べて)リスクが高いという見方はしていない」。インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一社長はこう断言する。このところ、ITシステムの中枢を担うデータセンター(DC)の首都圏離れが目に見えるかたちで進行し、DCを取り巻く環境が大きく変わっている状況下で、鈴木社長の発言は、「DCを西日本に移設すれば、震災や停電による被害を受けるリスクが下がる」という定説を覆している。
今夏、東京に新DCを開設
これまで日本のDCは、ユーザー企業に近い場所にあるほうが便利という理由から、大半が東京23区をはじめとする首都圏に集中してきた。しかし、東日本大震災を境に、ディザスタ・リカバリや事業継続、節電対策の観点から、DCがあまりにも東京に集中しすぎることを「健全ではない」(某IT機器メーカーの幹部)として、DCをバランスよく全国に普及させる動きに出るDC事業者が日増しに増えている。
DCを分散すべきというのは正論と思われるが、流れに逆らう鈴木社長の意見は新鮮に響く。鈴木社長は、東日本大震災の際に、東京のDCが実際に被害を受けなかったことを根拠に、今後も重点的に首都圏でDCを建設/運営する方針を変えないそうだ。「東京は日本経済の中心であって、ここにDCを構えることには大いに意義がある」と熱弁を振るう。
鈴木社長の東京擁護論には、それなりの理由がある。IIJは現在、東京や横浜、埼玉など首都圏の十数か所でDCを運営しており、さらに、今年の夏をめどに都内に新しいDCを開設しようとしている。仮に、それらDCの一部だけでも西日本に移そうとしても、移設に必要なコストや時間からすると、非現実的な話になる。IIJだけでなく、2012年に三鷹市にDCを開設する予定の新日鉄ソリューションズなど、震災前からDCを関東地方に新設する計画を推進している企業が多い。彼らは、建設中の新DCを非首都圏に移設するわけにはいかないので、東京DCの安全性を訴求しなければならない。
IIJの鈴木社長は、一方的な首都圏離れではなく、DCの二極化を今後のDC戦略の柱としている。今年の4月に、東京から遠く離れた島根県松江市に「松江データセンターパーク」を開設するなど、震災前から、地価が安くて拡張に対応しやすい地方でのDC建設に取り組んできた。これからも、「便利な東京」と「コストの安い地方」の両軸で、DCを基盤としたクラウド型サービスを展開していく方針だ。
大地震は、いつでもどこにでも発生する可能性がある。そのため、事業継続に不可欠な情報システムを被害から守るには、DCを西日本だけでなく、海外を含めたなるべく広い範囲に分布させることが重要だ。DCの二極化というよりも、多極化がカギを握っている。(ゼンフ ミシャ)
「東京は(他の地域と比べて)リスクが高いという見方はしていない」。インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一社長はこう断言する。このところ、ITシステムの中枢を担うデータセンター(DC)の首都圏離れが目に見えるかたちで進行し、DCを取り巻く環境が大きく変わっている状況下で、鈴木社長の発言は、「DCを西日本に移設すれば、震災や停電による被害を受けるリスクが下がる」という定説を覆している。
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