ITホールディングス(ITHD)グループのクオリカは、グローバル進出を加速する。その最前線となる中国市場に向けて、同社は主力商材を次々に投入。製造業や流通サービス業の業務アプリケーションに特段の強みをもっており、中国をはじめとするアジア市場での拡販を推し進める。今年度(2012年3月期)からは、中国・上海の現地法人の人員を大幅に拡充し、ビジネスのさらなる伸長に本腰を入れる。
海外売上高比率10%を目標に
――御社は、ITホールディングス(ITHD)の主要グループ会社のなかでも、率先してグローバルビジネスに取り組んでおられる印象を受けます。
西田 私が自社の業績でイメージするのは、向こう3~5年で連結売上高の25%を海外で売り上げようというもの。それくらいの意気込みですよ(笑)。まあ、しかし、ITHDは上場企業ですので、私の思いだけで先走ることはできません。現実的な路線として海外売上高比率10%を当面の目標としています。ただ、これは最低ラインです。
――ずいぶんと自信をおもちのようですが、どのあたりに手応えを感じておられるのでしょうか。
西田 当社のルーツは旧コマツソフト、つまり建機のコマツグループにあって、コマツがグローバル展開するに当たってのITサポートに30年間ほど取り組んできた会社です。そういう意味では、南ア(南アフリカ共和国)やチリ、中国、ロシア……と、世界各国に出向いてシステムの立ち上げを手がけてきました。とはいえ、これでは旧親会社、今は主要株主の1社への依存度が高すぎますので、今はコマツ以外の日系企業や急成長する中国やASEANの地場のユーザー企業の獲得に力を入れているところです。
――海外での製品デリバリーはどんな方法をとっておられるのですか。今年6月には中国・山東省の興和工業所の事業所に生産管理システムを納入したと発表されましたね。
西田 興和工業所のケースは、当社の生産管理システム「AToMsQube(アトムズキューブ)」をクラウド方式で提供したものです。実は中国・山東省では興和工業所の事業所を含めて2社、上海近郊で2社ほど、すでに生産管理サービスを提供していて、まずは日系企業を中心に生産管理システムが売れ始めています。
――中国では主力ソフト製品の一つである鋳造シミュレーションソフト「JSCAST(ジェイエスキャスト)」が、まず最初に売れたとうかがっていますが……。
西田 昨年までは、当社の中国拠点は「JSCAST」を、ほとんど専門に販売していました。これが予想を上回るスピードで売れて、わずか数年で40システムあまりを販売しました。鋳造業向けのかなり特殊なソフトなので、このままの勢いで伸びれば国内での総販売本数を上回ることも視野に入れているほどです。内訳をみると、3分の2が中国地場企業に売れており、日本の製造業のノウハウを貪欲に取り込もうという意欲の強さを感じました。当社も含めて日本の製造業向けソフトは、そのノウハウがぎっしり詰まっていますからね。
それで昨年後半から、当社が得意とする製造業やサービス業に向けの商材も、中国で売ろうということになり、今年から中国での業容を段階的に拡大してきたわけです。現地でのマーケティングの結果、「JSCAST」はもとより、「AToMsQube」と外食産業・サービス業向けの本部・店舗営業支援システム「TastyQube(テイスティ・キューブ)」が売れると踏んでいます。
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