中国・大連の有力SIerである大連創盛科技は、日立グループと組んで巨大データセンター(DC)を大連郊外の開発区に2012年11月をめどに開業する。第一期工事分のサーバー収容能力はラック換算で約2000ラック。現在確保のめどが立っている敷地面積をフルにDCとして使えば、最大1万ラックを収容できる規模に拡張できるという。日立グループの中国ビジネスにおいて、極めて重要なDC拠点の一つになる見込みだ。大連創盛科技の謝銀茂・董事長総経理に話を聞いた。
日立システムズと密接に連携
――日立製作所グループと組んで、中国・大連に巨大データセンター(DC)の建設を進めておられますが、そもそも日立とはどのような関係なのですか。
謝 当社は中国・大連に本社を置く独立系SIerで、日立製作所グループとはこれまでオフショアソフト開発を通じて良好な関係を築いてきました。オフショア開発とはいえ、単純なプログラム作成ではなく、できる限りエンドユーザーの業務内容を理解し、システムの設計段階から参画できるようノウハウ習得に努めてきたというのが、当社の基本的な経営姿勢です。
今回のDC開設に当たっては、日立グループのもつDC関連技術や運用ノウハウを最大限に生かしていく予定です。
現在、大連郊外にある金州開発区で第一期工事を進めており、DCを運営する合弁会社の出資比率は当社が55%、日立グループが40%、開発区の政府系投資会社が5%で、事業の主体は当社が担います。日立グループのなかでも、DC運営に長けた日立システムズとは密接な関係にあり、これまでも同社の自治体向けのパッケージなどの開発に携わってきました。今後はDC運営でも密接な関係を構築していくつもりです。
――DCの規模はどのくらいにする計画ですか。
謝 第一期工事では、ラック換算でおよそ2000ラックを収容できる大きさの建物になる見込みです。DC用の敷地面積は拡張の余地を残してありますので、物理的な拡張可能性でいえば、およそ1万ラックは収容できます。実際は、初めての経験でもありますので、第一期棟のなかに100ラック単位程度で設備を入れていき、顧客のニーズを測っていきたい。ビジネスの拡張の余地は多く残しつつも、足下のビジネスは堅実に進めていく考えでいます。
――日立システムズは、中国・広州市に本社を置くSIerの広東華智科技とも、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)やDCの運営で合弁会社を設立し、協業関係を強化しています。
謝 他社についてのコメントは控えますが、少なくとも当社の今回のDC新設は、大連の金州開発区で最大規模になる見込みです。中国の遼寧、吉林、黒龍江の東北三省のなかでみても大型クラスでしょう。少なくとも東北三省におけるBPO関連ビジネスでは、他のライバル大手SIerに負けないと自負しています。
中国は広いので、地域性が重要になってきます。当社は、まずは東北三省で事業基盤を拡大し、湖北省武漢市の当社拠点を中心にして、中部地区でのビジネスも本格的に立ち上げていく予定です。
――広東華智科技のケースでは、日立グループだけでなく、NECグループやJBCCホールディングスといった他の日系ベンダーとも組んで事業拡大を進めていますが、御社はどうですか。
謝 当社は独立系SIerではありますが、日立グループ向けのオフショア開発比率が高く、技術や人的な交流も深いことから、現時点では日立グループとの協業をメインに位置づけています。日立グループに対する恩義みたいなものがあるというか、相互の信頼関係もすでにできあがっていますので、この点は他の独立系SIerと少し違うところなのかもしれません。もちろん、同業のSIerの方々でも、当社DCを活用してくださるというのなら、一般の顧客と同様にご利用いただけますよ。
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