今年3月に、設立40周年を迎えたアシスト。その節目の年の1月1日付で新しい社長が誕生した。大塚辰男氏である。昨年12月までは創業者のビル・トッテン氏がトップを務め、他社とは一線を画したソフト販売を展開していただけに、どのような方向に進むのかが気になるところだ。その回答として、大塚社長は「顧客第一主義を貫くソフト販売に徹する」と断言する。中期経営計画「弾丸-2017」も策定した。新社長が打ち出そうとしている戦略をたずねた。
ビジョンを実行に移して売り上げ1.5倍へ
──アシストといえば「ビル・トッテンの会社」というイメージが強いですね。大塚さんが新社長に就任されて6か月余りが過ぎましたが、振り返ってみて、社長に抜擢された理由をどのように認識しておられますか。
大塚 端的にいえば、トッテンとは違うタイプの人間だからでしょうか(笑)。
──違うタイプ、というと?
大塚 トッテンは、外部に当社のビジョンをアピールしたり、お客様のもとへおうかがいするのが好きで、戦略については社員に任せていました。私もお客様を訪ねるのは好きなのですが、違う点はトッテンのビジョンをもとに、戦略を立てる役目を負っていることです。
──トッテンさんは時々、大きな方針を掲げますね。方針を戦略に落とし込むのは大変じゃないですか。
大塚 それがトッテンのいいところなんです。人情味に溢れていて、お客様にだけでなく社員に対しても気遣いをみせてくれる。トッテンの人柄を知っているからこそ、たとい大きな方針であろうと、それが会社の方向性だと私を含めて社員が理解できるのです。
──そのトッテンさんから社長を引き継いだのですから、“大塚色”も出していかなければなりませんね。どのようなスタイルでいくか、決められましたか。
大塚 独自の色を出すのではなく、トッテンの意思を引き継いで、これまでトッテンが掲げてきたビジョンや方針を戦略に落とし込むことに専念します。そのために、2017年までの中期経営計画も策定しました。ただ、これまでとは異なる点を申し上げるならば、今まで以上に「スピード」を速め、しかも「壁」を打ち破らなければならないと考えています。中期経営計画を「弾丸-2017」にしたのですが、そんな意味を込めて名づけました。
──何の「スピード」を速め、どのような「壁」を打ち破るのですか。
大塚 最も迅速性を高めなければならないのは、お客様への対応です。そのために執行役員制度を敷きました。お客様と経営判断の距離を短くすることが目的です。「壁」については、設立当初から事業として手がけているメインフレーム関連のソフト販売モデルに固執してはいけないということです。新しい販売スタイルや新しいサポートの仕組みなど常識を打ち破らなければならない。実際、メインフレームは1種類しか扱っていないので、変わってきているとはみています。
──今の売上規模200億円を2017年には1.5倍に引き上げるというのも高い「壁」ですね。
大塚 先ほど、新しい販売スタイルと申しあげましたが、取り扱っているソフトのなかから、「データベース(DB)」「ビジネスインテリジェンス(BI)」「運用管理」という3分野の販売に力を入れていきます。これは、お客様が求める製品を選択肢に入れていくことが重要だと判断しているからです。例えばDBの場合、当社はOracle製品の販売歴が長いので非常に愛着がありますが、一方でお客様のニーズが多様化したのでPostgreSQLやMySQLなどにもサポートの範囲を広げました。将来にわたってお客様のニーズは多様化していきます。そのニーズにスピードをもって対応し、目標の売り上げを達成します。
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