有償ソフトビジネスへの疑問

 アシスト(ビル・トッテン代表取締役)は、オープンソースソフトのオフィスソフト「Open Office(オープンオフィス).org」を全社導入し、昨年6月より外部に向けて支援サービスを開始した。同社がオープンソースソフトウェアを扱い始めたのは、商用ソフトの今後のビジネスにおける疑問からだった。

 従来は商用ソフトに関連したライセンス販売や、サポート、保守などでビジネスを展開していた同社が、OSSに注目したのは、2005年の年初。トッテン社長が「これからのビジネスは本当に商用ソフトが続いていくのか。すんなりいくとは思えない」と疑問視したことがきっかけだった。その後、トッテン社長に「OSSを先行して調べなさい」と指示されたことから、OSSの先行調査を開始した。社長自身もOSSのメーラーやブラウザなどを使い込んだという。


 その後、06年6月にOSSの専門チームとして4人が人選された。4人のメンバーには、社長から直接声がかかった。それまで4人はビジネスインテリジェンスや、DBのマーケティング、コンサルティングや中日本支社の支社長など、OSSとはあまり関連のない部署で従事してきた。4人のなかで小川知高・公開ソフト推進部マーケティングプランナーだけは先行調査を行っていたが、残りの3人はその時初めてOSSに携わった。


 4人はOSSをいかにビジネスにつなげていくか、ディスカッションや調査を行った。当初は何を扱うかも決めかねていたが、社長自身の頭の中では、あらかじめデスクトップ系のOSSを扱うことを念頭においていたという。


 ビジネスPCが一人1台の時代で、PC系ならば、社員一人ひとりが身をもって体験し、親しみやすいことから、オフィスソフトの「OpenOffice」を扱うことに決めた。


 OSSには「仕入先がなく、情報提供先がない」(神谷昌直・支援統括部 統括部長)という点が問題だった。自分たちの使ったことのない製品を顧客に勧めるわけにはいかないので、社内で使っていたマイクロソフト製品の更新をするか、しないかというタイミングで、OpenOfficeを評価してほしいと各部署の有志に依頼した。どのような障害が出てくるのか、操作性、機能、使い方、データのやり取り、社内システム連携などを調べ、そのナレッジをログとして残した。06年11月末には、OpenOfficeに対応できるめどがつき、07年2月に全社内でマイクロソフトOfficeからOpen Officeに移行した。(鍋島蓉子●取材/文)