グローバルで194か国/7万社の顧客を抱え、ビジネスソフトウェアの分野ではSAP、オラクルに次ぐ第3位のシェアを誇る米インフォア。日本法人であるインフォアジャパンも、製造業、流通業などを中心に着実にユーザー数を伸ばしてきた。しかし、ERPの国内シェアは数%にとどまっており、グローバルの実績と比べると、少々地味な存在だったことは否定できない。そんななか、7月に尾羽沢功氏が新社長に就任。3年間で売上高を2倍にするという意欲的な目標を打ち出した。
目標の達成は難しくない
──7月に尾羽沢さんが社長に就任され、8月には「向こう3年で売り上げを2倍にする」という目標を掲げられました。かなり大胆な数字という印象です。(2012年の米インフォアの総売上高は28億ドルで、そのうちインフォアジャパンが占める割合は約3%、80億~85億円程度と推測される) 尾羽沢 3年で2倍という目標を達成するのは、誤解を恐れずにいえば、簡単だと思っています。まず、インフォアグループの規模からいっても、インフォアジャパンの現状の売上高は低すぎます。しかも、ERPの市場環境は今、非常に良好です。
私はITのセールスの世界で生きてきた人間ですので、オフィスでじっと座っているというのは落ち着きません(笑)。社長に就任してすぐに、市場の生の声に触れるために、お客様への訪問を始めました。そこで実感したのは、ユーザーのインフォアに対する期待は非常に大きいということです。
──具体的には、どのような期待ですか。 尾羽沢 まず市場の動向として、当社の重要なユーザーである製造業や流通業の分野で、大企業だけでなく、中堅企業でも、拠点を海外に拡大する動きが顕著になってきました。それに伴い、本社からのガバナンスを効かせるために、各拠点へのERPを導入しようというニーズが高まっています。
ただし、例えば本社でエンタープライズ向けのSAP ERPやオラクルEBSを使っている場合、海外の新たな拠点にもそれを水平展開するには、システムが巨大過ぎるわけです。導入のためのコストも労力もニーズに見合わない。必要な規模で必要な機能だけをスピーディーに実装して、迅速にカットオーバーする。これが現在のERP需要のメインストリームです。
インフォアが採るマイクロバーティカル戦略は、製造・流通分野を中心として、業種、業界、業態を細分化して、それぞれに適したソリューションを揃えるというもので、非常にきめ細かくユーザーの要望に応えることができます。ERPのそうしたニーズに対応するには最適な戦略で、ここに大きな期待を寄せていただいているということです。
──市場環境が目標達成を後押しすると見込んでおられるということですが、インフォアジャパンの競合となるERPベンダーは、SAPやオラクル、マイクロソフトなど、非常に強力なプレーヤーが多い。そのなかで競争力を発揮していくことも必要になるのでは? 尾羽沢 確かにその通りですが、打つべき施策をきちんと打てば、競合に勝って目標を達成できると確信しています。そして、打つべき施策が具体的に何なのかはすでに明確になっていて、実行段階に入っています。
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