日立ソリューションズは、米MicrosoftのERP(統合基幹業務システム)「Dynamics」を軸にグローバル進出を加速する。日立グループの再編も含めて、日立ソリューションズは欧米と中国、インドに計15拠点を展開し、およそ500人のスタッフを擁している。「Dynamicsを軸の一つとしながらも、地域に密着したきめ細かなサービスを提供する」(佐久間嘉一郎社長)ことで、競争優位性を高める。兄弟会社の日立システムズは合弁事業を通じてASEAN地域への拠点展開を急ピッチで進めており、日立製作所の情報・通信システムグループと一体となって海外事業を拡大していく。
それぞれの国のトップに任せる
──グローバル展開を加速しておられます。まずは、直近の取り組みについて聞かせてください。 佐久間 大きな転機となろうとしているのが米マイクロソフトのERP(統合基幹業務システム)「Dynamics」を軸に、世界での販売体制を整えたことです。日立製作所は傘下の海外法人を含めてSAP、Oracle、Dynamicsなどグローバルで著名な主要ERPを扱っているのですが、このうちDynamics事業については、2012年4月、日立ソリューションズが譲り受けました。SAP、Oracleは大手ユーザーを多数抱え、一般的には欧州ではSAPが強く、北米ではOracleが強い。Dynamicsは比較的中堅・中小のユーザー企業が多いことから当社が担当することになったのですが、日立グループのグローバルERP事業の流れを汲んでいることから、当社においてもDynamics事業は北米を起点に世界へ展開する体制を組みました。2015年には、世界のDynamics事業で200億円の売り上げを目標にしています。
──日立ソリューションズアメリカのマイク・ギリスCOOとは、米国で深い交流があったとうかがっています。 佐久間 2007年から日立製作所の米国法人の責任者を務めてきたとき、ちょうどギリスが立ち上げた会社が日立グループに加わったときと重なったもので、その頃から仲間としていっしょに仕事をしてきました。今は同じ日立ソリューションズという会社の日本と米国での経営を担う者同士、気持ちを新たにしてがんばろうとしています。
Dynamics事業を刷新するにあたって、日立ソリューションズアメリカで所信表明をしたのですが、ここで改めてERP事業、あるいは広い意味でのSI・情報サービス事業は、その国や地域に密着していないと、本当の意味での浸透は難しいと感じました。ギリスは米国のSI市場に精通していますので、彼の指揮の下、北米市場をしっかり押さえていきたい。また、アジア最大市場である中国では、当社中国法人のトップを張若皓総経理に任せてあります。中国には中国のやり方があるので、日本からの押しつけは通用しません。
──日本本社はあまり口を出さない、と。 佐久間 いや、むしろ、国内で連綿と仕事をしてきた日本人スタッフをギリスや張の下に出して、しっかり修行させてもらってこいと言っています。英語や中国語をある程度話せるようになるのはあたりまえで、世界の主要市場を理解する意味でも重要なことなのです。国内事業を担当していても、国内だけで完結する仕事はどんどん少なくなっています。否が応でもグローバルを前提にビジネスを進めなければならないわけで、そうしたニーズに応えてこそ国内ビジネスもうまくいくというものです。
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