東京ドームを一望できるNECネッツエスアイの会議室には、工夫を凝らしたビデオ会議システムが備えられている。和田雅夫社長はこの部屋をベースにして、複数の大型画面を通じて全国各地の営業拠点と直接にコミュニケーションを取り、デジタル資料を共有している。独自商材として力を入れるオフィス改革ソリューション群「EmpoweredOffice(エンパワードオフィス)」を自社に取り入れて、積極的に活用している。和田社長は、昨年5月に中期経営計画を打ち出し、独自商材の販売を強化するなど、成長の基盤を築いてきた。2014年の動きなどをたずねた。
自治体にオフィス改革を提案
──ITや通信のインフラからペーパーレス会議などのサービスまで、オフィス環境の改革を全面的にサポートする「EmpoweredOffice」は、ネットワーク構築とシステム開発の両方に精通する御社ならではの商材だと思います。直近の受注状況はいかがでしょうか。 和田 私は、昨年5月に「EmpoweredOffice」を重要な柱に据えて「事業を拡大する」というメッセージを対外的に発信しました。そして、言葉だけではなく、売り上げを確実に伸ばすというプレッシャーを自身にかけて、この8か月の間、オフィス改革製品の提案活動に精を出してきました。
最近、コンサルティングから始まるワンストップの案件が増えてきています。お客様を訪問した際によく聞こえてくるのは、「インフラとサービスを一社で提供してくれるのがありがたい」という声です。社内に「EmpoweredOffice」を体感することができるデモ環境を用意し、昨年はおよそ1万3000人の方々にお越しいただきました。デモを見て「EmpoweredOffice」でできることを実感し、経営改革のツールとして導入を決断するお客様が多くなっています。
デモが実を結んで、受注が前年比20%以上の勢いで増えており、「EmpoweredOffice」の事業展開は順調そのものです。現在は、3月の期末に向けてのラストスパートで、お客様との商談を詰めて、一件でも多くの受注を獲得しようと奮闘しているところです。
──「EmpoweredOffice」は、東京本社だけでなく、地方拠点でも自社導入を進めておられるとうかがっています。 和田 全拠点への導入を目指して、これまで東北、甲信越、中部、中国、九州、沖縄のオフィスに導入してきました。2013年度中(14年3月まで)には、北陸、神奈川、四国、関西、北海道の拠点への導入を完了させる計画です。
地方には、「EmpoweredOffice」の展開に大きな可能性があると実感しています。東日本大震災をきっかけに、今、多くの地方自治体が庁舎を建て替えたり、無線通信やクラウドを活用したICTインフラを導入したりと、災害時に備えた対策を講じています。私は、これを大きなチャンスと捉えて、各地域で迅速に提案ができるよう、「EmpoweredOffice」の全拠点への導入を決断したのです。さらに、これまで「首都圏」と「地域」に分かれていた営業の組織を「全国一体」に変更しました。
このように、東京で実施しているようなデモを全国に横展開するための環境を整え、販売体制を強化することで、地方市場のポテンシャルを現実のものにしたい。
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