NECグループの有力ICT(情報通信技術)ベンダーであるNECネッツエスアイ(山本正彦社長)は、コンタクトセンター事業者など、非IT系サービス会社との業務提携を強化している。同社のオフィス改革用サービス群「EmpoweredOffice」に、総務や人事といった業務の受託運用など、パートナーが展開するサービスを組み合わせることによって、ICTの枠を越えた効率化ソリューションを提供。サービス事業の拡大を狙う。
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佐藤博 執行役員兼企画部長 |
ICTインフラの構築や運用を手がけるNECネッツエスアイは、ここ数年、独自ソリューションの強化に取り組んでいる。日立グループの有力SIerなど、売上規模や事業構成が類似する競合他社との違いを明確にするための戦略だ。中堅企業向けのオフィス改革ソリューション「EmpoweredOffice」を軸として、パートナーと業務提携するかたちで、このソリューションを“非IT系”のサービスと連携させる事業展開に力を入れている。
同社は、「EmpoweredOffice」のコンセプトとして、ユーザー企業の業務を全面的に効率化することを掲げる。ユーザー企業の経営層に、業務の効率化によって経営改善を図ることができることを訴求し、IT予算が限られているなかでも、「経営改善」を切り口とするIT導入を促す提案活動を推し進めている。「EmpoweredOffice」を非IT系のサービスと組み合わせて提供することは、業務の効率化を実現するために、ICTの活用だけではなく、コアではない業務のアウトソーシング(業務委託、BPO)なども欠かせないとみているからだ。
NECネッツエスアイは、2010年、テレマーケティング事業を手がける第一アドシステム社を子会社化し、同社のコールセンターサービスを「EmpoweredOffice」のメニューに追加した。加えて、この4月、コンタクトセンター受託運営ビジネスのもしもしホットライン社と業務提携。総務や人事、経理などの間接業務運用をもしもしホットラインが行うかたちで、「EmpoweredOffice」と連動しているBPOサービスを提供した。
NECネッツエスアイのこうした戦略は、サービスメニューの拡充によって製品力を上げることにとどまらず、パートナー企業がもつ顧客ベースを新規市場として開拓することを狙いとしている。NECネッツエスアイは今後、自社のおよそ700人の営業部隊を活用し、年商100億円以上の中堅企業を中心とするもしもしホットラインのユーザーに対して、「EmpoweredOffice+BPO」のソリューションを提案する。「3年間で、50億円の売り上げを目指す」(佐藤博執行役員兼企画部長)という。
NECネッツエスアイは、今後、非IT系サービス会社との業務提携を横展開する。佐藤執行役員は、「節電のニーズを受け、ICT基盤を必要とするエネルギー管理の事業者をパートナーとして獲得したい」と述べる。多業種のベンダーと提携することによって、ICTの枠を越えたソリューションを実現し、「ライバルとの違いを打ち出す」(同)戦略を具体的なかたちにしようとしている。(ゼンフ ミシャ)