“クラウドファースト”という言葉がすでに古いと感じるほど、クラウドの認知は高まっている。セキュリティ面の不安などを理由とするクラウド慎重論は根強いが、すべてのシステムをパブリッククラウド上で運用するユーザー企業も、事業規模の大小を問わず出てきている。だが、急成長を続けるパブリッククラウド市場では、さまざまなクラウドベンダーのサービスが乱立状態にあるともいえる。アマゾン データ サービス ジャパンの長崎忠雄代表取締役社長に、クラウド市場の現状をどのようにみているのかをたずねた。
クラウドの普及でITは変革期を迎えた
──1年ほど前に国内で初めての「プレミアコンサルティングパートナー」として、アイレット(cloudpack)と野村総合研究所が認定されました。日本でのビジネスパートナー戦略が本格化したという印象を受けましたが、あれから1年でどのような変化がありましたか。 長崎 ユーザー層が拡大してきたのと同時に、「Amazon Web Services(AWS)」上で稼働するワークロード(システム)も、本当に多種多様になってきています。とくにエンタープライズクラスの企業で、具体的にAWSに移行するという話が増えた1年でしたね。これは本当に大きな変化だと思っています。
──「この1年で」というのは、なぜだと思いますか。 長崎 いくつか要因はあるでしょう。一つは、AWS側のサービスの拡充。それから、AWSのもつ価値が受け入れられるようになったということも大きい。
私たちは、イノベーションと称して、昨年だけで280の新機能や新しいサービスを市場に投入しました。今年もすでに160近くを投入しています。また、4月にはAWSが始まってから42回目の値下げを発表しました。それらの姿勢が日本の市場に浸透したと実感しています。
ユーザー事例を発表する機会が増えたのも、導入の意思決定を後押しする一つの要因になっているかもしれません。この1年を振り返ると、SAPのERPがAWS上でちゃんと動く、しかもコスト削減や導入期間の短縮を実現して、運用も変わったという事例をユーザー側から積極的に語っていただける機会が増えました。
ITの変革期にあるなか、AWSという最先端のテクノロジーを示すために、ユーザー事例はとても重要です。私たちとしては、非常に感謝しています。
──今はITの変革期ということですが、何が変革しているのですか。 長崎 今まで、新しいITプロジェクトでは、インフラの調達スピードが圧倒的なボトルネックになっていました。悩ましいサイジングがあって、一生懸命考えても機会損失になったり、オーバースペックになったり。導入後は、ハードウェアの更改やバグフィックスなどもある。企業のIT部門は、インフラの保守に時間を取られていました。
それがAWSなら初期費用がゼロ円で、必要に応じてスケールアップも、スケールダウンもできます。IT部門はインフラの保守などから解放されて、ビジネスサイドに貢献できるようになったとの声をいただきます。今までのやり方から、ビジネスの未来を担うようなITのあり方の変革が、AWSというソリューションによって実現できているのだと思います。
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