M&Aで中国インターネットビジネスに参入
──オフショア開発を今後も拡大する一方で、中国国内向けのビジネスも開始されていますね。 包 はい。2014年9月末に、上海二三四五網絡科技というインターネットポータルサイトを手がける会社を買収して、現在は当社の100%子会社として運営しています。上海二三四五網絡科技のポータルサイトは、約4000万人のユーザーを抱えています。そのユーザーが、サイト経由で、提携企業の百度(バイドゥ)の検索エンジンを利用したり、ECサイトの淘宝(タオバオ)で商品を購入したりすることで、手数料をいただくビジネスモデルです。
中国国内向けのビジネスは、現地のローカル企業が取引先になるので、売掛金の回収に苦しむケースが多いですが、百度などのインターネット企業は、財政的に健全な運営をしていますから、回収しやすいというメリットがあります。実際、2014年は百度との取引で2億元程度を売り上げています。
──なぜインターネットビジネスに参入したのですか。 包 中国国内で市場が伸びている分野に参入して成長を図るのはもちろんのことですが、実はそれ以外にも、当社の株式市場での地位を向上するという大きな狙いがあります。つまり、株価を上げて、資金調達をしやすくするということです。
日本向けのオフショア開発は、市場環境が厳しくなっていますから、当社が上場会社として株価を維持するためには、別の戦略が欠かせません。そこで、成長分野のインターネット企業を取り込むことを考えたわけです。実際に、上海二三四五網絡科技の買収後、株価は順調に伸びています。
──買収に応じた上海二三四五網絡科技側のメリットは何だったのでしょうか。 包 これも資金調達ができることですね。中国では、年間の上場企業数に制限があったりして、IPO(株式公開)が難しく、多くの企業が行列している状況なのです。とくに、インターネット関連企業の中国国内での上場は難しくて、例えば、今、世界中で注目されている阿里巴巴集団(アリババ)の上場市場は、米国のニューヨーク証券取引所ですよね。 上海二三四五網絡科技は、上場会社である当社の立場をうまく利用して、M&A(合併・買収)のルートで上場会社の中に組み込まれることによって、資金調達をしやすい環境を整えたというわけです。
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