国内ベンダーとの連携は不可欠
──河村さんのミッションとしては、やはり法人向け商材の「Dropbox for Business」の拡販が最優先になるのでしょうか。 河村 そうですね。日本でエンタープライズビジネスを強化するということで、私のキャリアを本国の経営陣に評価してもらったということはあるでしょう。
──どんな戦略で日本市場を攻めますか。 河村 日本法人を立ち上げて、サポートに日本人をアサインしただけで、インバウンドでどんどん実績が伸びている状況ではあります。この人員を増やして、さらにインバウンドでの獲得ユーザーを増やすのがまず一つの方法です。
一方で、法人向け商材は、やはりこちらからセールスしなければ本格的な成長には結びつきづらいのも実際のところです。そこで、大企業についてはアーリーアダプタに直販でアプローチし、中堅・中小企業(SMB)に対してはパートナーと一緒に攻めていこうと考えています。日本でビジネスを拡大するには、国内のベンダーとの連携が不可欠です。MDM、ERP、グループウェアなど、彼らが提供するさまざまなアプリケーションとインテグレートして使っていただくことで、Dropboxは非常に大きな価値を提供できるようになります。そのためのSE(セールスエンジニア)も随時増強していますし、「Dropbox for Business API」も昨年12月に発表しました。
──SMB攻略のためのパートナーとしては、具体的にどんなベンダーと組みますか。 河村 詳細はまだ話せませんが、まずは1社、Dropboxと補完関係になり得る特徴的な商材をもつ有力ソフトベンダーと組み、そのベンダーの販路も活用していただき、早期にある程度のビジネスボリュームを確保したいと考えています。
──大企業は、セキュリティコントロールに対する要求がより厳しいと思いますが、直販での秘策はありますか。 河村 まず、大企業で先進的な製品を積極的に導入しようという企業は限られていますから、営業先が明確になっているのはやりやすい。
それから、単にアプリだけを提案するのではなく、Dropboxの社内導入マニュアルや利用時のポリシーなどの作成も一緒に支援していくようなサービスを展開したいと考えています。われわれは新規で営業をするときに、営業先の企業のドメインでどれくらいDropboxがシャドーITとして利用されているか、分析したデータをもっていくんです。そうすると、思ったより多くの人が使っていて、情シスの方は愕然とされるんですが、彼らもそういう状況は何とかしたいし、業務部門の役に立つアプリを入れたいという気持ちはある。しかし、今までの社内のルールなどがあって、エネルギーを使ってそれを変えて導入に踏み切るところまでいけないユーザーも多い。運用方法の標準的な考え方を共有することで、そこをサポートします。
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