グローバル市場では顧客に優先順位なし
──3月に北米DCを開設し、海外でのサービス提供を開始しました。5月には、ドバイのデベロッパーと協業して、中東・北アフリカ地域にも進出しておられます。グローバルビジネスの今後の展開について教えてください。 喩 海外に積極的に進出して、ユーザーのニーズを満たしていきます。すでにグローバル市場では、北米・南米、日本を含むアジア、中東、欧州でのニーズを感じています。また、各地域のニーズを研究していて、どのような価値を提供できるのかを調査しています。具体的な戦術のリズムは、研究の結果をみて決めていく方針です。
一つ、確実に言えるのは、ユーザーのニーズが存在して、私たちに提供できる価値があれば、世界中のどこでもサービスを提供していくつもりだということですね。
──日本でのDC開設も予定しておられる。 喩 日本市場でサービスを提供することは、われわれにとっての念願です。日本市場に対しては、尊敬の念と、勉強させてもらいたいという気持ちを強く抱いています。日本は、グローバルのなかでも重要な役割を担う大きな市場です。一方で、言語や文化、ITのニーズに関する特色も有しています。われわれが成功するには、まずは日本のIT市場を深く理解することが欠かせません。そのためにも、現地ですぐれたパートナーを見つけ出し、共に市場開拓に挑みたい。
──具体的にはどんな企業と協業したいですか。 喩 まず、現地の事情を熟知した企業を重んじます。そして、クラウドにはインフラ設備が欠かせませんので、ハードウェアやハイスピードなブロードバンドなど、強力なインフラ設備を提供できる企業とパートナーシップを結びたい。
また、ご存じのように、アリババの株主の一部は日本企業で、日本とは縁が深い。こうした結びつきも生かしたいですね。
──グローバル市場でのメインターゲットは、中国系の企業でしょうか。 喩 中国企業を重視するのか、それ以外の企業を重視するのかといった、ユーザーの優先順位はつけていません。海外でのスローガンは、「Cloud Without Borders(国境のない雲)」です。
優先順位を決めるのは、お客様。そして、お客様にとって重要なのは、自身が有している顧客の居場所です。例えば、ベースとなるDCを選択するときに、米国と中国のどちらを選ぶのかは、自らのホームオフィスの所在地ではなく、彼らの顧客の居場所をみて決めることでしょう。
──そうすると、グローバルトップの「Amazon Web Services」と真っ向勝負するかたちになります。 喩 現在、グローバル市場では、クラウドへのIT投資と、それ以外のIT投資の比率が1:9となっています。そして、このクラウドへのIT投資の成長率は45%で、伝統ITの4%をはるかに上回っています。つまり、クラウド市場の成長は著しい。
成長市場には、競合会社と共に、ユーザーのニーズを満たしていくだけの空間がある。レッドオーシャンで競争している状態ではないのです。どうやってお客様のニーズを満たすのかは、われわれと競合が一緒に解決していくものです。真っ向から競争するものではありません。
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