コールセンターの「高機能化」戦略
──キューアンドエーに来て現場を実際に見て、これは武器になると感じられた点はありますか。 先ほども少しお話しした、現場のもつ力ですね。例えば、業界の言葉でいう「社告案件」、いわゆるリコールへの対応のような場面で現れます。もともとの体制がなく、準備時間もないなかで新規にコールセンターを構築しなければならないので、さまざまな部門の社員が横断的に集まってやらなければいけない。それが、ご依頼を受けてから稼働開始まで3~4時間でできてしまう。これはすごい力だと思いました。長年事業をやってきて積み重ねたノウハウ、ここぞというときに全社員が「やるぞ!」と力を合わせる連携能力、このような現場力は財産だし、さらに伸ばしていきたい部分ですね。
──マンパワーがベースなだけに、収益性向上の難度が高い事業です。今後の成長戦略を教えてください。 人の力にITを加えていくことで「高機能化」を図ろうと考えています。エンドユーザーからの問い合わせは、今は電話が中心ですが、これがメールやチャットに加え、ソーシャルメディアなどにも広がりつつあります。それらを集約したクロスカテゴリのコールセンターに、購買データやお客様の声が集まってくる。このようなさまざまな情報を分析する力をもって、満足度向上や商品開発、売上向上につながるような情報を提供する。コールセンターは単純なコストとして考えられがちですが、高機能化を図ることで、マーケティングの仕組みのなかに組み込まれるかたちにしていく。今はまだ分析とCRMに長けたスペシャリストは数人規模ですが、今後、強化していきます。
──サービスの幅を広げるというかたちでは、どのような発展の可能性があるのでしょうか。 すでに展開している事業の資産をうまく組み合わせていきたいと思っています。例えば、PCの使い方やインターネット接続の設定にとどまっていたサービスを、セキュリティの不安の解消や、買い替えの提案まで広げていく。サポートエンジニアはお客様からみると、「困っているときに来てくれる人」なので、すごく頼りにしていただけるんですね。単なるエンジニアではなく、アドバイザーでもある。そしてわれわれからみると、優秀なセールスマンにもなり得ます。
──直近の新規事業としては外国語対応のコールセンターが始まりました。 事業をグローバルに対応したかたちに広げていきたいと考え、7か国語に対応した多言語コールセンターをランゲージワンという専門会社として4月に設立しました。海外からの訪日観光客が増えているという事情に加えて、日本の人口減に伴い、労働者としての外国人の定住が増えています。ランゲージワンの設立は少し先に向けた投資ですが、多言語対応サービスには可能性があると考えています。
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