国産Linuxベンダーのミラクル・リナックスが、2015年で設立15周年を迎えた。その節目の年に、立ち上げから同社を知る伊東達雄氏がトップに就任して、新たなスタートを切った。伊東社長は、「外資系の大手ベンダーとは、一線を画したビジネスを手がけていく」という。きめ細かなサポートと、ユーザーニーズに対して柔軟に応える小回りが利く動きで、他社と勝負している同社が、どのように成長していくのか。今後の戦略について聞いた。
社員が主役になれる環境をつくる
──設立から15年という節目の年を迎えました。伊東社長の経歴をみると、ミラクル・リナックスの歩みとほぼ同じですね。 そうですね。NECでUNIXのエンジニアとして仕事をしているときに、NECと日本オラクルが主体となって、国産Linuxメーカーを設立するということで、OSを知っているエンジニアとして声がかかりました。最初はエンジニアの一人だったんですが、だんだんと管理関連の仕事もするようになって、児玉(崇氏)が社長になったときに執行役員に就任しました。直近では、副社長としてパートナーとの関係強化など営業的なことをやっていたので、当社では、技術から始まって、管理、営業など、すべての業務に携わったことになりますね。
──そして、今年4月に社長になられたわけですが、何か変わったことはありますか。 いやー、意識が全然違いますね。「会社を知る」という点については、これまでの業務を通じて把握していたので、そんなには変わらないのですが、副社長の時は何かやらかしたとしても、「責任を負ってくれる上司がいる」と考えていたので、何でもできた。一方、社長というのはトップですので、責任を負ってくれる上司がいない。ですので、いままでよりも慎重になりましたよ。
また、自分一人でやるのではなく、部下に任せなければならないという意識も強くなりました。私のなかに答えがあったとしても、社員に答えを出してもらう。副社長のときは、「自分がやれば何とかなる」と考えていたのですが、いまは社員一人ひとりが自主的に動かなければ、会社は成長しないという考えに変わりました。
──前社長の児玉さんが約7年と、設立から“児玉体制”が一番長かったわけですが、その体制のときは社員が自主的に動けなかったということですか。 社員が自主的に動ける環境というのは、私が社長になってから構築したというわけではなく、以前から当社は自由な社風で、社員が意見を何でも言える環境でした。しかも、自己主張が強い社員が非常に多い。例えば、本部長以上が出席する会議があるのですが、出席者全員が自分の立場やチームのことを考えて意見を言います。ただ、出席者が納得する説明をしなければ意見が通らない。そういった点では、理論武装が必要なんです。また、社員も自由に意見が言える。年度はじめのキックオフでは、さまざまな意見が飛び交っています。そこには上下の壁がないんです。逆にいえば、上を上と思わないということですけど(笑)。このような社風は、社員にとっていいことだと考えていますし、新しいことをやっていくなかで非常に重要なことです。それらの意見を汲んで、社長としてどうまとめていくか。いままで以上に、社員同士のコミュニケーションをとりやすくし、社員の誰もが主役になれるという環境をつくることが、私の使命だと改めて感じています。
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