いずれは“横綱相撲”がしたい
──日立グループの中核SIerの一翼を担う立場として、具体的にはグループへの貢献度、存在感を一段と高めていくために、どのような取り組みをしていくのですか。 昨年度まで手がけていた日立ソリューションズの官公需向けのビジネスの多くは、日立製作所と連携したうえで、主に当社が開発を担うポジションでした。だったら元請けと開発を分けるのではなく、日立本体のなかに製販一体で組み込んでしまったほうが経営のスピードが速くなるし、オーバーヘッドロスも減る。一方、民需向けのビジネスのほとんどは当社が営業し、提案し、受注から納入、運用までワンストップで手がけています。当社の特色がよく出ている領域であり、ここを伸ばすことがグループ全体への売り上げや利益の貢献につながるわけです。グループ内の取引では、グループの売り上げは伸ばせませんからね。
──日立グループが強いのは、むしろ官公需系であり、競争が激しい民需で稼ぐのは、並大抵ではありません。 どうでしょうか。世界のITビジネスは大きく様変わりしています。一昔前ならば、日立の情報・通信システムビジネスのライバルといえば、世界大手のIBMやHPといった名前が挙がったのでしょうけれど、今は必ずしもそうではない。GoogleやAmazon、はたまた中国をはじめとする成長国のITベンダーもめきめきと実力を伸ばしています。
目まぐるしく勢力図が塗り替えられ、トッププレーヤーが入れ替わる市場で、本来ならば日立ソリューションズも、彼らと同じ土俵に立って正面から“横綱相撲”ができればいいのですが、この点はご指摘の通り、そこまでできる力はまだありません。そうであるなら、そこは日立グループの強みを生かしつつ、独自の生存空間を見出して、日立グループらしい、日立ソリューションズらしいビジネスを世界で展開していくことが、まずは成長への近道だと考えています。
──「日立ソリューションズらしい」とは何でしょうか。 日立って、グループ全体でみればITをやって、鉄道をやって、電力・エネルギーをやってと、社会インフラの領域をビジネスの中核に据えていますよね。これらを俯瞰してみると“運用”という点で、実は共通した部分をもっているのです。私は、これを「IT」と並ぶ「OT(オペレーション・テクノロジー=運用技術)」だと捉えています。社会インフラは止まることが許されない領域であり、地に足を着けて現場の運用を担ってきた実績とノウハウがある。泥臭いといわれればそうなのかもしれませんが、ITとOTの両方に強みをもっていることが日立らしさであり、日立ソリューションズらしさなのです。
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