富士通システムズ・ウエストが誕生してから3年が経過した。設立から連続で増収増益を達成している。社内には、企業文化や風土の違いが残っているものの、順調に成長しているという。しかし、今年4月に社長に就任した宮田一雄氏は満足していない。人材育成に力を注ぐほか、SIを主軸としたビジネスモデルに加え、ソリューションやグローバル化の強化を図るなど、さらに大化けする策を講じる。「社員や学生が魅力的と感じるSI会社にする」と断言する宮田氏に今後の方向性を聞いた。
3年連続で増収増益
──富士通システムズ・ウエストの社長に就任して、第1印象はどうでしたか。 西日本でビジネスを手がける富士通グループの6社が統合して誕生し、それから3年連続で増収増益、統合した効果が出ている会社だと感じました。いろいろな地域の会社が統合したからか、それぞれの会社の風土が残っていると感じていますが、そういうバラバラ感はあるものの、そのバラバラ感がいい方にでている面もあります。ただ心配なことは、仕事のために住まいが変わるので、不安を感じている社員もいるのではないかということです。
──順調に業績を伸ばしている一方、不安に思っている社員がいるかもしれないというなかで、宮田さん自身が、社長に就任してからこれまで、力を注いできたことは何ですか。 これまでは規模の拡大によって成長してきたかもしれませんので、社員が不安に感じているのであれば、それを取り除かなければならない。そこで、各拠点に行って状況を聞いたり、課題を理解したりと、現場の状況を把握することに力を注いできました。加えて、当社で力を注いでいるのが人材育成です。仕事がしやすく、しかもスキルアップにつながることは何なのか。それを幹部やマネージャーなどと意識を合わせて議論を進めてきました。
──会社が誕生して3年が経過しました。宮田社長の描く富士通システムズ・ウエストの方向に進んでいますか。 中期計画では、SIを強くすることを柱にソリューション事業の拡大を打ち出しています。ただ、SIだけでは伸びない。幸い当社は、各地域に根づいていた6社が統合したとあって、「セキュリティ」「製造業向け」「ライフサイエンス」「CRM」「文書管理」などをテーマに、各社が強みとしていたソリューションがあります。これが育ち、花開こうとしています。ですから、ソリューション力をもっと上げていくことに取り組んでいきます。また、グローバルビジネスにも挑戦しています。シンガポールやマレーシアに拠点があるので、そこをハブにビジネスを拡大していきます。
一般論としてですが、日本が成熟してきたなかで、SIが人気だった時代から、今は「SIをやりたい!」と学生が意識するよりは、むしろあまりいい印象をもっていないのが事実です。これではよい人材を採用できない。毎年、60~70人を採用しているのですが、一方でベテランの技術者が定年退職となっていく。結果、技術力が低下するというスパイラルに陥ります。これは、業界全体で起こっている課題でもあるといえます。そのなかで、当社がまず解決すべきことは人材に依存しないビジネスを拡大していくことです。そのための武器がソリューションということです。また、学生にSIの魅力を伝えることもよい人材を確保するためには必要と判断しています。そのためのカギがグローバル化だと考えています。
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