キヤノンMJアイティグループホールディングス(キヤノンMJーITHD)は、キヤノンらしさと販売力、品質・サービスの三つをキーワードに、IT業界をリードするソリューションベンダーの地歩を固める。キヤノン製品の販売会社の系譜と開発系SIerの両方の素質をあわせもつ同社は、販売力と開発力の両方を兼ね備え、かつドキュメントやイメージング(画像や映像)を強みとするキヤノングループならではの特色をもつ。こうした要素を巧みに融合させ「より本質的な価値をユーザーに提供する」(神森晶久社長)ことでビジネスを伸ばす。
構造改革の総仕上げをするときだ
──中間持ち株会社のキヤノンMJアイティグループホールディングス(キヤノンMJ─ITHD)、傘下の事業会社であるキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)、キヤノンソフトウェア(キヤノンソフト)の3社の社長を兼務しておられます。その点では、まさに構造改革に取り組んでいる最中かと思いますが。 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)傘下の情報サービス系の会社をキヤノンMJーITHDを中核に集約するなど、先代の浅田(和則前社長)さんの時代から、延々と構造改革を続けてきた当社グループですが、そろそろこのあたりで構造改革の区切りをつけ、総仕上げの準備を進めています。
まずはキヤノンITSとキヤノンソフトを段階的に再編し、17年には経営統合する準備を進めるとともに、まだ決まった話ではありませんが、今の中間持ち株会社体制も、例えば再編後の新生・キヤノンITSを事業持ち株のようなかたちでグループの中核に据える選択肢もあるでしょう。
──国内情報サービス市場が堅調に推移するなか、主要SIerの業績も上向いています。そうしたなか、御社のITソリューション事業は、業界の伸びに届いていない印象も受けるのですが、どうでしょうか。 言いたいことはわかりますよ。昨年度(14年12月期)はITソリューション事業セグメントで、過去最高の売り上げ1488億円を達成していますが、今期(15年12月期)の予想では昨年に若干及んでいない。
ユーザーに求められているIT商材、データセンター設備やクラウド/SaaS、業種・業務で使う先端的なアプリケーションソフトをできる限り拡充して、期待に応えるよう最大限の努力をしていますが、それでもユーザーや第三者の厳しい目からみれば、「世界のITトレンドになんとか追随している」状態なのが、今の当社の姿なのです。目指すべき目標は、国内外のIT業界をリードし、ユーザーや業界に影響力ある存在にならなければ、この情報サービス業界で本当の意味でのトップグループに上り詰めたとはいえません。
──では、どうすべきとお考えでしょうか。 一つは“キヤノンらしさ”をしっかりもつことと、もう一つは“販売力”、そして“品質・サービス”だと捉えています。
当社のITソリューション事業は、キヤノンMJやキヤノン本体と、実は密接に関わりをもっていて、キヤノングループの商材と絡めて世の中に出していく。一般的に開発系のSIerは、製品を販売する力が弱い傾向が見受けられますが、当社には販売力がある。これらをキヤノンのブランドに恥じない品質やサービスでユーザーに届けることが競争力につながります。
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