狙いは中小規模DC
──パートナー戦略に関して、考えられている施策はありますか。 われわれのビジネスはほぼすべてパートナー経由ですので、もっともっとパートナー各社とのコラボレーションを増やしていきたいと考えています。シュナイダーの製品はこんなに売りやすいのか、新しいお客様を開拓できるのか、と感じていただけるよう、パートナープログラムを大幅に見直してこの春から導入する予定です。具体的な中身の発表まではもう少しお待ちいただきたいのですが、当社がもっている社内ツールを、パートナーの皆様にも活用いただけるような形になります。当社とパートナー各社による共同での活動を、より柔軟に行うことができるようになるイメージです。
──最後に、16年の注力分野についてお聞かせいただけますか。 今年の3月で震災から丸5年が経過します。震災直後はUPSの販売が大きかったので、その買い替え需要が大きく出てくると予想しています。ただ、先ほども申し上げたように底堅い需要はあるものの、何もしなければ伸びることはない。市場の開拓については、ディストリビュータ各社ともご相談しながら進めていますが、新しい分野にUPSをアタッチしていくという考え方にはご賛同いただいています。
──データセンター分野ではいかがでしょうか。 大きなデータセンターはもちろんですが、中小規模の施設にとくにフォーカスし、当社のトータルソリューションをすべて導入いただく戦略に注力していきます。データセンターや企業のマシンルームは、稼働を開始してから15~20年経過したところがかなりの数ありますが、当時は電源や空調で今ほど効率の高い製品もなく、そもそも人の意識もそこまで「電気って大事だね」とはあまり思っていなかった。そのようなデータセンターで中身を入れ替えよう、規模を拡張しようというとき、今の技術を使うと消費電力がこんなに下がりますよと。この4月から小口向けの電力小売りの自由化があり、電力に関する関心が高まっているのも追い風ですね。電気を有効に使うにはどうすればいいかというところでは、われわれに一日の長があると考えています。

‘我慢を強いるだけではなく効率化で解決できるエネルギー問題もある’<“KEY PERSON”の愛用品>メモは大判が使いやすい ニューヨーク赴任中に購入した革製のノートパッドホルダーを10年以上愛用している。書類も折らずに入って便利だが、唯一の不便は用紙のサイズ。米国仕様のレターサイズのため、リフィルは出張時にまとめ買いしているという。
眼光紙背 ~取材を終えて~
ダボス会議にあわせて毎年発表される「世界で最も持続可能な100社」ランキングで、シュナイダーは今年12位につけており、これは電機メーカーとしてはトップ。日本企業の最高位が80位(武田薬品工業)であることから、同社のサステナビリティ・CSRに対する力の入れ方が尋常でないことを示している。
松崎氏も社会における企業の責任を重く考えており、市場の拡大に加えて、働きやすい職場づくりを自身の重要ミッションとしている。昨年行った職場の満足度調査では一昨年よりも高いスコアを得ることができたが、さらに上を目指す。日本的なチームとしての一体感と、ヨーロッパ式の風通しのいい組織運営をどのように両立するかが課題となる。(螺)
プロフィール
松崎 耕介
松崎 耕介(まつざき こうすけ)
1984年3月、京都大学工学部卒業。同年4月、日本IBM入社。2001年7月、米IBM上席副社長補佐に就任し、ニューヨークでの勤務を経験。03年1月、日本IBMストレージ・システム製品事業部長就任。04年11月、理事、08年10月、執行役員、14年1月、常務執行役員と要職を務め、14年11月、シュナイダーエレクトリックに入社。15年1月より現職。
会社紹介
フランスに本社を置く1836年創立の電機メーカー。受配電機器、エネルギー管理、設備オートメーションに強みをもち、グローバルでの売上高は3兆円を超える(2014年実績は250億ユーロ)。07年、UPSや空調を手がける米APCを買収し、IT事業の強化を図った。「BCN AWARD 2016」では、43.0%のシェアを獲得してUPS部門で最優秀賞を受賞している。