ピー・シー・エー(PCA)の連結子会社として再出発した就業管理システムのクロノスが丸5年を迎える。発足当初に比べ売上高は1.5倍に成長。「ブラック企業問題」など労務管理の重要性が高まるなか、「もっと簡単に安く」管理できるシステム開発を目指し、クラウドへも本格参入した。依然として高いポテンシャルを秘める同市場で、強力な競合他社を前に、より存在感を発揮する。
就業管理では“老舗中の老舗”
──就業管理システムの開発メーカーとしての歴史は古いですね。 前身のエル・エス・アイジャパン(LSI)で1987年に開発・販売を開始したシステム(当時は勤務管理システム「たんぽぽ」という名称)が、現在の当社主力製品である就業管理システム「クロノス」です。2011年5月に会計システムのPCAに事業譲渡・子会社化されて創業したので、会社としては5期目になります。ですが、就業管理システムが29年目ですので、同システムでは“老舗中の老舗”のベンダーです。
──LSIというと通信機器メーカーのイメージがありますが、その会社で就業管理システムは異色な感じがします。 当時のLSIは、放送局の通信機器と関連するソフトウェアに強みをもっていました。メインはそれで、警察庁の「110番システム」などを担っていました。確かに、そのなかで就業管理システムは異質な存在でしたね。私が入社した頃(95年)は、就業管理システムの担当者は私を含め3人しかいないくらいですから。当時、ニッポーというメーカーのタイムレコーダー機器に連動する就業管理システムの開発を依頼されたのがきっかけです。私が入社した頃から外販を始め、銀行関係のシステム会社経由で売りましたが、販売実績はボチボチだったんです。
──「29年目」というと相当長きに渡りますが、その間、御社の就業管理システムは、どう進化してきたのでしょうか。 最初は簡単な連動システムでした。長年、その時々に顧客の要望に応え、例えばコンプライアンス(法令遵守)強化の要求があれば、それに対応したシステムへと変化させてきています。ただ、当初から顧客の個別カスタマイズはしないという方針です。個々の顧客向けに開発した部分は「標準機能」として搭載し、その繰り返しで進化してきました。製品名は当時「たんぽぽ」で、今でも業界内ではこの名称が知られています。「クロノス」のブランドはまだ7年ですから。
──たんぽぽからクロノスにブランドを変更したのは、何か理由があったのですか。 (たんぽぽまでは)データベース(DB)を使わず、ファイルで動かしていましたが、クロノスではDBを採用しています。これによって、データの活用の幅が広がりました。
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