不規則な就業形態の企業に販売伸び
──現在、御社のシステムは、どんな層に導入されていますか。 導入実績は、累計で約5600社になります。導入した会社として最大は、従業員数千人のパチンコ店のガイアで、当社のICカード式タイムレコーダー「テレタイムX」が270台入っていて、「クロノス」も使われています。一方で、PCAの業務システムを購入する層の数百人の企業にも導入されています。当初は大規模が多かったのですが、今では幅広い顧客層に使われるようになりました。
──パチンコ店などを想定すると、アルバイト店員が多い店舗系に多く使われている印象があります。 昔は、流通・小売がほとんどでした。しかし、最近では老人ホームや病院、福祉事務所など、24時間無休で稼働し不規則な就業形態の事業所や企業への販売が伸びています。流通・小売に関しては、各店舗でパソコンが導入され、ネットワーク環境で勤怠管理するケースが増えましたので、逆に減少傾向にあります。
──タイムレコーダーの領域まで含めた競合になりますと、大手の機器メーカーが複数ありますよね。 テレタイムXは、競合他社よりも低価格です。今どき、パソコンが10万円程度で買えるのに、タイムレコーダーだけで20万円以上するものがほとんど。それと比べると、価格競争力があるんです。
──就業管理システムの専業メーカーですが、製品ラインアップは多いですね。現在、とくに注力している製品は何ですか。 今年1月にテレタイムXの後継機種として「テレタイムZ」シリーズの販売を開始しました。今までは、出先機関や事務所などを多く抱える企業の場合、タイムレコードの押し忘れや有給休暇などを誰が管理するかという課題がありました。そこでテレタイムZシリーズでは、簡易サーバーが内蔵されているので、画面上にタイムカードのイメージを表示し、そこで入力できるようにした。さらに、管理者は自分の席で、タイムレコーダーと接続するパソコンで承認できるようになったのです。
──就業管理システムの国内市場は、どの程度あるのでしょうか。 就業管理システムは、大手企業で50%、中小企業で20%に導入されている程度とみています。まだまだ、市場のポテンシャルは高い。PCAの子会社になってからの販路は、PCA経由でリコーやキヤノン、富士ゼロックスなど事務機系からの販売が増えているので、中堅・中小企業を中心に市場開拓が進んでいます。
当社の国内シェアは、ソフトウェアのシェアで10%程度。競合他社には数千万円単位の製品があるので、どうしても小さくみえてしまう。当社の「クロノス」は1本売れると、タイムレコーダーが平均4~5台は導入されるので、総額で200万円程度。提案しやすい価格ですので、販売会社には魅力的な製品になっているのです。
──市場自体のポテンシャルが高く、競合優位がある、ということを生かし、さらにシェアを拡大する戦略をどう立てていますか。 就業管理システム1本で事業を展開しているので、もっと簡単に扱える製品にすることだと思っています。最大の競合メーカーの製品は、カスタマイズが多く、導入から4~5年を経過した際に機能を変更しようとすると、さらにコストがかかる。先ほど申し上げた通り、当社製品は必要な機能が標準で積み込まれています。それが逆に、利用者の使い勝手を難しくしている可能性がありますので、より簡略化し、わかりやすくしていきたいですね。
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