自社開発のPCレス製品を押す
──レンタル会社がクラウドを提供するということは、顧客にとって、どんなメリットがありますか。 もっと極端に言いますと、パソコンをレンタルして、実際にパソコンの画面をみると、そこにアイコンがあり、そのアイコンを展開すると、人事管理や会計などのソフトのクラウドサービスがある状態です。それをクリックして使うと月額課金としてハードに付加してソフトの利用料金を請求できます。顧客はまず、パソコンをレンタルしますが、必要なソフトを後々から使えるようになるんです。
──顧客が個々にソフトのライセンスを購入する方式と同じではないんですか。 一顧客がライセンスして購入するより、顧客に必要なソフトを当社がまとめて仕入れることができれば、値段を下げられ、ボリュームライセンスとして、月額課金でリーズナブルに提供できます。
──最近では、自社開発の製品も出していますね。 自社製品として、データレスPCソリューション「Flex Work Place」を押しています。そういう自社開発のソフトを搭載したデータレスPCの環境が整っているパソコンをレンタルするという売り方もできます。もう一つは、キューアンドエーのビジネスと似ているんですが、使い方を教えたり、メンテナンスや保守など、レンタルした顧客が手を煩わせることなく、パソコンやワークステーションなどをすぐ使える状態にする運用も、ひとまとめに提供します。
──いままでのハードレンタルにソフトや運用の料金はレンタル収入に加え、新たな売り上げを生み出すということですか。 通信料金で例えれば、「アープ(ユーザー1人あたりの平均売上金額)を上げる」ということになりますが、パソコンレンタルの料金にソフトや運用などの料金を月額課金でどうアドオンできるかが重要ですし、そこにすごく可能性を感じているんですよ。
──どのような組織体制で具体化していきますか。 まずは、組織体制より、売れる仕組みをつくる。顧客に対する課金の仕組みなどを、どう構築するかが肝になりますね。さらには、ハード中心のレンタルや販売をしていた営業担当者を教育して、顧客に運用やサービスを売れるようにする必要があるでしょう。いまは、顧客に言われたことに対し、営業担当者は最適な製品を提示することだけで、工数がめいっぱいの状況にあります。そうではなくて、「横河レンタ・リース」でなければできない提案をしたい。
中小企業にクラウドと運用・保守も提供
──先ほどの「Flex Work Place」などは、顧客の利用環境を効率化する強い製品ですし、関連ビジネスも拡大しそうですね。 レンタルで提供するパソコン自体が、さまざまなサービスを提供するプラットフォームになります。これまで当社は、顧客の規模が大企業中心でした。しかも、横河電機の関連で製造メーカーが多い。クラウドサービスを活用したレンタル事業となりますと、大規模な情報システム部門がない中企業以下の会社でパソコンを使っている会社向けに、パソコンの導入から運用・保守まで丸ごと請け負うという領域が、当社の新しいマーケットになります。
──御社を含め、レンタル会社のビジネスというのは、なぜ大企業中心になっているんですか。 与信の関係で、大企業中心にならざるを得ないんです。しかし、こうした課題を解決するために、月額課金制を展開している通信キャリアやISP(インターネット・サービス・プロバイダ)などと協業する手もあるでしょう。
──聞いてますと、ビジネスモデルが変わる印象がありますが。 いまのモデルで30年間、飯を食ってきて、売り上げも利益も上げてきました。それを崩さずにプラスアルファしていくということで、ビジネスモデルを大きく切り替えるということではありません。
──競合他社の存在も大きいです。この方向性で勝てますか。マネされないだけのサービスにするということですか。 技術もサービスも、追いつけない唯一無二なモノなどあり得ない。マネできるかできないかは、その会社が真剣に取り組んでいるか、人を教育できているかです。概念やアイデアは誰でも出せますので、実際にやるのか、そのやり方、スピード感次第で勝負が決まります。当社が勝ち抜くことができるか、まだわかりませんが、勝てると確信しています。
──直販だけでなく、パートナーとの関係性も深めていくということになりますね。 たくさん、おつき合いをすると思います。当社でパッケージ化された製品をつくります。それをパートナーに販売してもらうことになります。ハードも、「購入から利活用へ」という文化をIT業界に根付かせたい。一目置かれ、ひと味違う会社になり、いい人材を得て、成長し続ける会社にしたいです。

ハードも、「購入から利活用へ」という文化をIT業界に根付かせたい
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