2000年代半ば、日本マイクロソフトで「Dynamics」の国内投入を指揮した中西智行氏が、クラウドERPのパイオニアである米ネットスイートの日本法人社長に就任した。クラウドネイティブであることを最大の特徴として独自の存在感を発揮してきたネットスイートだが、いまやERP市場でも本格的なクラウドシフトが進み、他のベンダーもクラウドERPを前面に押し出すようになった。ERP、そしてパートナービジネスに精通した中西社長は、そうした市場環境の変化を本格的な飛躍のチャンスと捉えているようだ。
20年やってきたからこその資産がある
──ネットスイートは、ずっとクラウド一本でERPを提供してきた“尖った”ベンダーというイメージですが、中西さんは国内ITビジネスの王道に近い場所でお仕事をされてきた印象があって、今回の社長就任は少し意外でした。 私がネットスイートを選んだ理由は大きく二つあって、一つは、製品・サービスがすばらしいということ。そしてもう一つは、ネットスイートが競争力を発揮できるクラウドERPの市場がこれから拡大していくのは間違いなく、大きな成長が期待できると確信していることです。
──過去、競合として戦ったこともありますよね。 私がネットスイートのことをきちんと知ったのは2006年頃で、ちょうどネットスイートが日本に入ってきたタイミングです。同時期にマイクロソフトもDynamicsを日本に投入しましたので、ライバルになり得る会社だと認識していました。しかも、ネットスイート日本法人の初代社長は元マイクロソフトの東(貴彦)さんでしたし。私は東さんの元部下ですから、すごく印象に残っていました。
ただ当時、クラウドでERPをやるというコンセプトはすごくいいが、本当にできるのかなと率直に思っていたのも事実です。それでも北米を中心に実績がどんどん出てきていて、日本の市場にも徐々に受け入れられるようになるだろうとは感じていました。いまでは日本のお客様の間でクラウドへの抵抗感が薄まっているというのは誰しもが感じているでしょうが、いよいよERPもクラウドの時代になろうとしていますよね。
──確かに、大手グローバルベンダーの動きをみても、ERPのクラウド化はこの1~2年で顕著になった感があります。しかしそうなると、ネットスイートのプレゼンスが相対的に低下してしまうというリスクはありませんか。 ネットスイートは、20年近くいまのかたちでサービスをお届けしてきて、グローバルで3万社以上に使っていただいています。この実績、信頼性は非常に大きな差異化要因になると思っています。
ERPという複雑なアプリケーションを年に2回バージョンアップして運用していくというのは、簡単なことではありません。ネットスイートはそれをずっと続けてきて、ノウハウもたまっていますし、われわれのプラットフォーム上でお客様やパートナーがつくられたアドオンも膨大なものがあります。これらの資産は、クラウドERPを始めて半年や一年でたまるものではありませんから、ネットスイートにとっては間違いなく大きなアドバンテージになると思っています。

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