この7月から事業持ち株会社へ移行した「TISインテックグループ」。事業会社のTISを中核としてインテックやアグレックス、クオリカ、AJSなど総勢60社、2万人規模の企業グループの強靱化計画を加速させる。各社の強みをより明確に打ち出せるようグループ内で事業を移管し、逆にグループが一体となって取り組めるよう編成しなおすなどの改革を推し進める。グループのトップに就任した桑野徹社長は、「顧客や社会に貢献する企業文化、経営哲学をより深く浸透させていきたい」と意気込みを語る。
事業持ち株で経営スピードアップへ
──8年間にわたって親しまれてきた純粋持ち株会社の「ITホールディングス」と合併するかたちで、事業持ち株会社としての新生TISが、この7月1日に発足しました。そのトップに就任された抱負から、まずはお話しいただけますでしょうか。 私個人で一番大きく変わったのは、事業会社のTISの社長から、事業持ち株会社の社長になったことです。つまり、事業会社のTISだけでなく、グループ約60社、2万人規模の社員を抱える新生「TISインテックグループ」全体の経営を担うとともに、それぞれの事業会社が、それぞれの分野で競争力を高められるよう、グループ内の再編や組織改正を戦略的、かつ迅速に行っていく立場になりました。場合によっては外部企業との提携やM&A(企業の合併や買収)を主導していくこともあるでしょうし、これまで以上にグループ全体の最適化、競争力の向上を強く意識していきます。
──それぞれの分野で競争力を高めるとは、もう少し具体的に教えていただきますか。 SIerといっても、中身をみるとシステム構築やソフトウェア開発、サービス、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、保守といった商材が組み合わさって、顧客にワンストップサービスを提供しています。ただ、それぞれのパートが強くなければ、グループ全体の競争力も高まりませんよね。例えば、BPOだったらBPO業界でトップに立ち、開発なら開発の領域でトップにならなければいけない。
そこで、国内外のグループ各社のBPO事業をアグレックスに集約したり、国民健康保険関連事業をTISからインテックへ移管したり、逆にインテックから電力・ガス関連事業をTISへ移管したりなど、それぞれの会社が強みとする領域を、より大きく、より強くするための再編に取り組んでいます。
──事業持ち株会社体制になったことで、グループの最適化を推し進めやすくなるということでしょうか。 そうですね。純粋持ち株会社の「ITホールディングス」時代も、各事業会社のキーパーソンが相互に出向することでグループ連携に取り組んできましたが、事業持ち株会社のTISインテックグループ体制になったことで、事業単位で再編や移管が、もっとすばやくできるようになりました。先の例では、開発やBPOなどの機能別でみた場合ですが、他にも金融や製造、流通といった業種別でも強みを伸ばせるよう、グループ組織の最適化を進めていきます。

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