社会と人に貢献する会社へ
──人々の生活に貢献するというのは、具体的にどういうことですか。 オートデスクがもっている製品や技術は、人のためになり、世の中のためになるということです。例えば、3Dプリンタで義手をつくるといったことに、当社の技術が実際に使われています。当社の技術が人助けに貢献できるということです。
──なかなか把握しにくいのですが、ひとことで「何会社」というのはありますか。 非常に難しい。やはり、繰り返しになりますが、「世の中をよくする。人々の生活をよりよくする」会社。建物や義手などをつくる技術の提供によって、世の中の変化に貢献する会社であるということです。
──オートデスクのイメージとしては「CAD」を思い浮かべますが、それは間違っていますか。 決して間違っていません。当社は創業から30年以上経っていて、成長の原動力はCADソフトにあります。30数年の間には、100万人以上のエンジニアやデザイナーに活用いただいて、今日があるという状況です。だから、たくさんの方がCADの会社というイメージをもっています。
ただ、実際にはCAD以外にも多くの製品をもっています。それを知っていただくためにも、きちんと紹介して市場に投入していきたいと思っています。
先頭集団を走る一社でありたい
──今年、パッケージや永久ライセンスなどで販売する「買い取りモデル」を撤廃し、ユーザーが利用した期間に応じて料金を支払う「サブスクリプション」に変えました。7月には最後となるスイート版のライセンス販売が終了しました。市場の反応はどうですか。 ものづくりの立場からいえば、コストを下げるのは常に命題となっています。サブスクリプションモデルでは初期投資が格段に安くなりますので、経営面にとっては非常にいい。必要なときに、必要なライセンスを使って、不要になれば使用をやめることができる。今までは、必要な人数分のライセンスを購入しなければなりませんでした。ちなみに、これまでの永久ライセンスは、今後も使い続けることが可能です。今までのライセンスが使えなくなるとの誤解が少なからずあると聞いていますが、それは間違いです。
──クラウドが浸透してきたので、ユーザー側もサブスクリプションにはあまり抵抗がないのかもしれません。ただ、購入すると初期投資が大きいだけで、その後のコストが把握しやすい。そこを嫌がるということはないのですか。 複数の永久ライセンスを購入していて、一部のライセンスしか使っていないというケースは、少なからずあると思います。使っていないライセンスは、余分なコストになりますよね。それがサブスクリプションベースであれば、本当に使う分だけを支払えばいい。とくに繁忙期に人数が増えるようなプロジェクトであれば、サブスクリプションのメリットは大きくなります。
また、永久ライセンスは、お客様との関係が売ったときだけになりますが、サブスクリプションはメーカー側とお客様との接点が問われるビジネスモデルだと思っています。だから、サポートが重要になります。当社では、「Autodesk Knowledge Network」というポータルサイトにも注力していて、そこでは製品や技術の情報がすべて揃っています。
ほかにも常に最新のバージョンが使えるなど、サブスクリプションのほうが永久ライセンスよりもはるかに勝っていると考えています。
──パートナー企業の反応はどうですか。 サブスクリプションへの変革は、第一にお客様のためであります。しかし、二番目に大事なのは、パートナーである販売会社の方々。こちらのほうのビジネスをサポートしていくのも重要なテーマです。ただ、サブスクリプションを導入するということについては、いくつか難しいことを一緒に乗り越えていただく時期にあると思っています。
サブスクリプションは、当社が最初に始めたわけではありませんが、最後でもない。今後は、サブスクリプションモデルを導入する会社が増えていきます。いずれはサブスクリプションモデルが一般的になるでしょう。当社は先頭ではないにしても、先頭集団を走る企業の一社でありたいし、それによって、お客様の期待に応えていきます。
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