日本ユニシスは、オープンイノベーションに通じる独自の「ビジネス・エコシステム」を打ち出す。異業種との連携や、外部の技術・知識を活用した研究開発を積極的に推進。これら新ビジネスを、従来からの収益基盤であるIT基盤や業務系システムのうえに構築することで、既存と新規の相乗効果を一段と高める。これによって全社のビジネスをより活性化させていく方針を示している。「ビジネス・エコシステム」を業界に先駆けて取り組んできた平岡昭良社長に話を聞いた。
ビジネス・エコシステムの狙いとは
──平岡さんがトップに就任して半年近く、機会あるごとに「ビジネス・エコシステム」というキーワードを発信しておられますね。その狙いはなんでしょうか。 私が言っている「ビジネス・エコシステム」とは、今でいう「オープンイノベーション」に通じるもので、当社やユーザー企業、それに先進的な技術をもつ企業と、積極的に連携していくことです。とくに、異業種との協業によって、これまでみえていなかった課題を探りあて、新しい技術やアイデアによって解決する。この「異業種との協業による課題解決」を、私はビジネス・エコシステムと呼んでいます。
異業種協業による課題解決を突き詰めていくと、ユーザー企業の経営やビジネスの課題のみならず、社会的な課題の解決にもつなげられると考えています。従来のITは、生産性を高めるなどの効率追求型で、これはこれでよいのですが、これからのITを考えると、人々の生活を豊かなものにする領域に、もっとITソリューションを生かしていかなければなりません。当社はここにビジネスチャンスを見出しているのです。
──つまり、ビジネス・エコシステムによって、従来型ITを土台として、そこに顧客の売り上げや利益を伸ばすような新規ビジネス、あるいは社会的な課題を解決するようなサービスなり、アイデアを上乗せしていくということですか。 そうですね。多くのITベンダーがそうであったように、当社もIT基盤や業務システム、決済サービスといったビジネス・プラットフォームを主な収益の柱としてきました。いわゆる製品販売やシステム構築(SI)と呼ばれている分野です。これらは、ITベンダーをITベンダーたらしめている重要な収益基盤であり、これは今後も変わらないでしょう。ただ、それだけでは十分ではない。
当社のIT基盤や決済、業務系のサービスを、もっと多くの企業や人に使ってもらうには、もう一つ“仕掛け”が必要です。この仕掛けというのが、既存のIT基盤やビジネス・プラットフォームのうえに、前述の業際的なビジネス・エコシステムを乗せていくことなのです。
──業際的といいますと、具体的にはどのようなものなのでしょう。 わかりやすくいえば、例えばオムニチャネルは、既存の販売チャネルやEC(ネット通販)、ソーシャル、デジタルマーケティングなどを融合するものですが、この仕組みを支えるのは当社の決済サービスや業務アプリ、ITプラットフォームなんですね。エネルギーや観光にしても、こうしたIT基盤や業務アプリが縁の下で支えているわけです。ビジネス・エコシステムで新規領域を開拓すればするほど、新規部分での売り上げも立ち、既存のIT基盤系のビジネスも活気が出てくる。

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