海外IT事業のカギはガバナンス
──ネットマークスを統合してから2年半になりますが、海外事業の状況はいかがでしょうか。 強調しておきたいのは、当社のグローバルビジネスは他社に対する大きな差異化要素になると考えているということです。まず、旧ネットマークスがアジア各国に展開していた現地法人7社が拠点となります。それから、日本ユニシスグループとの資本関係はなくなったものの、引き続き米国のユニシスコーポレーションとは連携しています。米ユニシスは世界に拠点があり、コールセンターなども含めグローバルにサービスを展開する力をもっています。彼らもグローバルのITアウトソーシングサービスには力を入れており、私どももそのサービス網を使える状態にあるので、これらを武器に提案を進めているというところです。
──企業の海外進出が進み現地でのITサービスに需要があるといわれる一方、国内ITベンダー各社の海外事業では苦戦しているケースもよく聞きます。 これまでは、日本のお客様がアジアに出ますというとき、拠点のネットワークを構築してほしい、PCやサーバーを用意してほしい、といったニーズがあるというお話でした。そのビジネスは一つひとつの規模が小さく、なかなか利益につながらなかったのだと思います。しかし、直近の状況としては変化が起きており、グローバルでビジネスをされている日本の大企業からお声がけいただくケースが増えています。大手の企業に海外のお話をすると「いや、海外よりもまず日本のITをなんとかしないといけないんです」という段階のお客様が実は多いのです。国内の拠点でもITガバナンスが十分効いていない。逆にいえば、国内外を含めた、お客様のグループ全体でITガバナンスにしっかり取り組んでいこうというニーズは、これから大きく増えるということです。そのような切り口での、海外の受注が実際に始まっています。
──そのほか、今年4月に東社長を中心とした経営体制になってから新たに取り組まれたことはありますか。 技術者中心の会社ですので、必要な技術研修は行ってきましたが、もっとこれからの世の中、技術者といえども人間力・総合力を身につけ、一人ひとりの価値をさらに高めてもらおうという趣旨で、私を校長とする「ユニアデックス・アカデミー」を社内に設立し、今カリキュラムを設計しているところです。ポイントはそれぞれの社員がどういう研修を受けたかを、それまでの仕事の内容と合わせて記録し、どういう知識・経験をもつ人なのかを会社として把握し、その情報を人材の配置にも活用していくことです。これをきちんとやっていきたい。どんなに技術が発達しても、最終的に競争力を決めるのは“人”だというのが私の信念ですので。

IoTはもう〝遊び〟の時期じゃない
<“KEY PERSON”の愛用品>時間配分を最適化社長に就任し、自分へのご褒美として腕時計を新しくした。選んだのは“プティ・プランス”(『星の王子さま』の仏原題)モデルのパイロットクロノグラフ。スピーチのリハーサル時にはこれで時間を計り、話す内容やスピードを調節している。

眼光紙背 ~取材を終えて~
現代のITインフラには、アプリケーション側の要件が変わっても即座に対応できる柔軟性が求められる。クラウドやAIによる自動化・効率化の普及が期待される分野だが、その技術を導入するのは人。東社長はインタビュー中、同社のビジネスにおける「人間力」の重要性を強調していた。
社長就任半年の感想を聞いてみたところ、「考えていた以上に、経営判断にはスピード感が求められますね」という。もちろん、大きな経営方針は熟考のうえ打ち出すが、決裁や指示にあたり、じっくりと腰を据えて考えられるときばかりではない。それは現代の社長にとって共通の課題だが、ユニアデックスが、俊敏性と柔軟性が求められるインフラ領域にフォーカスしたITベンダーであることも影響しているかもしれない。(螺)
プロフィール
東 常夫
東 常夫(とう つねお)
1959年生まれ。1984年、日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。主に通信事業者向けの営業を担当する。2005年、ユニアデックスの戦略営業本部長に就任。11年にビジネス推進本部長、12年に取締役執行役員、14年に取締役常務執行役員に就任し、16年4月より現職。
会社紹介
1997年、日本ユニシスのネットワーク関連事業、オープンサービス事業を分離・継承する形で設立。2014年3月には、日本ユニシスの完全子会社となっていたネットマークスと合併統合し、中国・ASEAN諸国における現地事業拠点を得た。従業員数は2891人(今年4月1日現在)、2015年度の売上高は1255億円。