スキルとサポート力の重要性を説く
──初期の段階、社団法人化前後を含め、JCSSAはどのような役割を担っていたのでしょうか。 初期の段階では、JCSSAがパソコンの店頭販売店の集まりでしたので、マイクロソフトの資格取得、サポートの有料化に注力してきました。会員ならば値引いて資格を取れるようにしましたし、団体として顧客に販売する際、資格をもって提案したり、サポートの重要性を説く役割を果たしてきました。「Windows 95」の時代ですから、法人企業ではまだパソコンを使う人が少ない状況にありましたから。当時、大塚商会は大冒険をしていました。NetWare(ネットウェア=ノベルが開発したパソコンで動作するサーバー専用のネットワークオペレーティングシステム)で基幹システムを動かしたりしていた。当時のダウンサイジングは、UNIXからですので、NetWareを搭載しパソコンで基幹システムを動かすのは異例でしたが、パソコンを売るにはスキルやサポートが伴わないと上手く売れない危機感がありました。
──会長に就任されて11年が経ちました。ある意味で、IT業界がもっとも激動期にある時代を、代表者としてひっぱってきました。どんな苦労がありましたか。 社団法人から一般社団法人化しても、協会としての役割に変りはありません。IT市場が悪く、「リーマン・ショック」などもあり会員数が減り、協会として赤字決算も経験しました。それまでの活動内容や回数も変わらず、国から補助金も得ていたんですけどね。その際には正月の賀詞交歓会で調査結果などの著作物を販売し、資金を集めたこともありました。
──パソコンの時代に始まり、企業システムはクライアント/サーバー(C/S)でオープン化になり、いまクラウドの波が押し寄せています。JCSSAも変わるんでしょうか。 販売店はエンドユーザーに近い立場にいるメリットをもっと大事にしたいです。求められるものは、技術力だったり、新しい知識だが、これらがお客さんに先行している「プロ」でなければなりません。お客さんのお手伝いをするなかで、お客さんのコストパフォーマンスや生産性を上げ、最終的にエンドユーザーとWin-Winの関係性が築ける。そのためのお手伝いをする役目がJCSSAの会員企業にはあります。
それで、結果的に日本の企業が元気になれば、万々歳です。販売店が適正に儲かるには、お客さんに満足していただかなければいけません。JCSSAは、呉越同舟でコンペチターの集まりです。そのなかでIT業界でやるべきことを一緒に考える。競合もするけど、協調もしなければなりません。情報交換をしながら、新しい発展をともにしていく。他の業界や団体と比べ、オープン性が強いと思いますよ。
JCSSAの会員企業は、リーマン・ショックの際、ヒーヒー言いながら、先行きを含め敏感に時代を感じ取り、苦しい時期を乗り切ってきました。

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