業種に強い販売店との関係を強化
──SMB市場へ提案するにはプリントソリューションの提案が重要になると思いますが、どのように取り組んでいますか。
まずはクラウド連携ですね。スキャナを搭載した複合機ではスキャンしたドキュメントをクラウドに保存したり、クラウド上のドキュメントをPCレスで印刷できます。クラウドと連携することで業務を効率化できることをアプローチしていきます。
また、販売店様と協力して、複合機/プリンタにIoTの技術を導入し、インク残量を自動検知して、切れる前にインクを届けるサービスや、印刷枚数に応じて課金するカウンター式プリントサービスなどをすでに実施しています。今後もこのような販売店様とのコラボレーションを拡大させていきます。
──新規市場開拓には販売店の協力が必要不可欠だと思いますが、販売店の拡充の計画はありますか。
もともと事務機系の販売店とのつながりはあります。ただ、これまでは医療向けの提案が弱かった。16年からは提案を強化し、販売店からの引き合いが増えています。さらにクリニックに強いディーラー様との新たなつながりもできました。医療の現場で徐々に認知が広まっている段階です。これを成功事例に、物流業界へも横展開していきます。
17年は、提案力をさらに強化し、取り組んで行く業種に強い販売店を拡充し、そのなかでも医療向けのビジネスを広げていきます。販売店様と地道に仕事を増やしていきながら、ブラザーの強みが生かせる市場へのアプローチを強化して、すみやかに結果を出していきたい。
ブラザーの強みを生かせる市場へのアプローチを
強化し、すみやかに結果をだしていく<“KEY PERSON”の愛用品>前年と比較ができる3年日記 手帳としても愛用しているのが、3年日記帳だ。一つの日付欄に3年分の出来事を記入できるので、「去年の今日は何をしていたかひと目でわかる」という。4冊目の今年は前年分がない真っ新な状態。来年、再来年の自分へ向けてメッセージを残す。

眼光紙背 ~取材を終えて~
部長、執行役員、取締役と重要なポストを歴任し、代表取締役社長に就任した三島氏。初の社長業ということで、この1年間の手応えを聞いたところ、自己採点は「30点」とやや厳しいものだった。市場の変化に合わせてSOHOからSMBへの方向転換、新製品の投入と販売戦略、販売店の関係強化……。地道ではあるが、一つひとつ取り組み、成果を出しているようにみえるが、何が減点ポイントなのか。
「働いている社員が生きがいを感じるように、やる気をもっと上げたい。明るく、楽しく、元気よく、生き生きとした、やりがいのある会社にしていきたい」と、ここでも片山前社長のモットーが登場した。片山前社長から引き継いだ思い描いている会社像に近づけていないという。「事業にどう取り組むかは就任前からわかっていた。しかし、社長業としては反省するところが多い。これからは自分の時間の半分以上を使って取り組んでいきたい」と話し、新年度はマネジメントにもさらに力を注いでいく。(海)
プロフィール
三島 勉
(みしま つとむ)
1960年、愛知県生まれ。84年、早稲田大学商学部を卒業後、ブラザー工業に入社。2002年にブラザー販売に出向。08年にブラザー販売の取締役、情報機器事業部長に就任。15年に部ブラザー販売の常務取締役に就任し、営業本部、マーケティング推進部、ソリューション事業部を担当。16年4月にブラザー工業のグループ執行役員とブラザー販売の代表取締役社長に就任。現在に至る。
会社紹介
1908年にミシンの修理業から始まったブラザーグループ。今日では、プリンタや複合機などの情報通信機器事業を中心に世界40以上の国と地域に拠点を置き、グローバルに事業活動を展開。ブラザー販売は、ブラザーグループの国内マーケティングを担う企業として、プリンタや複合機などの情報通信機器とミシンやカッティングマシンなどのホームファッション機器の二つの事業を展開する。