仮想化関連の製品・サービスを提供するベンダーとして知名度が高いシトリックス・システムズ・ジャパン。堅調に業績を伸ばしているものの、今年に入ってから指揮を執ることになった青葉雅和社長は、「踊り場を迎えている」と捉えている。世の中に「働き方改革」や「クラウド」という追い風があるなか、一気に成長路線を敷こうとしているからだ。どのような戦略を打ち出していくのか。今後の方向性を聞いた。
ビジネス領域のカバレッジを広げる
──スイッチなどのネットワーク関連業務に長く携わったなかで、シトリックス・システムズ・ジャパンに入られたわけですが、どのような経緯やきっかけがあったのですか。
確かに、ネットワーク関連業界に30年近くもいたので、「なんで？」と思われたでしょう。実際、当社に入ったことを伝えると、開口一番、「え？」という言葉をいただきました（笑）。きっかけは、「そろそろ新しいことをやりたい」と思い立ったことです。当社は「働き方改革」を推進している。そこに惹かれました。政府が働き方改革をかかげているなかで、当社でどのようなことができるか。新しいチャレンジと捉えています。また外からみていて、何よりも製品がいいと感じていたんですよ。
──実際に入られて、どうですか。
もともと当社は、シンクライアントのリーディングカンパニーと自負しています。お客様からも、製品に関する評価が高いのは事実です。ただ、正直にいって踊り場を迎えている。必ず伸びると確信していますが、では何をすればいいか。そこで、就任からこれまで、お客様やパートナー企業をできるだけ多く訪問することを徹底的に行っています。また、社員とのコミュニケーションを積極的に図っています。立ち話や、時には食事をとったりと。実際に話を聞いて、いくつか取り組まなければならないこともみえています。
──具体的には。
まずはビジネス領域のカバレッジを広げることです。シンクライアント（Citrix XenApp／XenDesktopなど）に頼ってきた部分がある。当社は、ネットワーク製品（Citrix NetScaler）やファイル共有（Citrix ShareFile）などもあるのに、お客様が総合的に導入していない。実際、シンクライアントとネットワーク製品を組み合わせて提供すると、お客様からの評価は高いんです。ですので、当社側からもソリューションを提案していかなければならない。そのためには、パートナー企業の協力が重要です。ところが、パートナー企業をきちんと理解しているかといえば、ワールドワイド共通の支援などを行っているので、日本に合っているかは微妙かもしれません。そこで、日本に合ったパートナープログラムが必要となる。
──日本に特化したパートナープログラムを策定するということですか。
ワールドワイドでは、大手SIerと個別にパートナーシップを組んでいます。日本でもそのノウハウを生かしてサポートやプライス（卸値）などの刷新を視野に入れながらプログラムを策定しようと考えています。パートナー企業との協業強化が最も成長するカギになるということを本社に伝えています。これは、大手企業をユーザーとして獲得することを目的としたプログラムとなります。
──SMB（中堅・中小企業）向けのプログラムについては大手の次に策定するということですか。
もちろん、プログラムを強化する予定です。働き方改革が浸透しつつあり、この環境は大手企業に限らずSMBも意識している。外出先や在宅勤務によって、遠隔で社内データにアクセスするためには、シンクライアントなどのVDI（仮想デスクトップインフラ）やネットワークを整備する必要が出てきます。そこで、パートナー企業が当社の製品を総合的に提供するよう、プログラムを刷新する必要があると判断しました。
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