セキュリティベンダーのソフォスは、エンドポイントからネットワークまで、幅広い製品群を有している。これを強みに、製品間の相互連係で脅威への対応を自動化する「Synchronized Security(シンクロナイズドセキュリティ)」を提唱する。今年3月に同社のトップに就任した中西智行代表取締役の指揮のもと、販売パートナーとの関係強化とともに、人工知能(AI)の技術を製品に組み込むことで、一層の拡販を目論む。
自社製品間の相互連係を訴求
──今年3月、ソフォスの代表取締役に就任されました。外資系ベンダーの経験が豊富な中西さんからみたソフォスの強みは何でしょうか。
まず簡単に当社の説明からさせていただきますと、ソフォスはIT企業としては珍しく、英国発の会社です。1985年に創業し、現在は英国と米国に本社を置いています。もともとは、エンドポイントセキュリティ製品の開発・販売を主体に、欧米やアジア圏でビジネスを展開してきました。転機となったのは2011年です。UTM(統合脅威管理)を提供するネットワークセキュリティベンダーのAstaroを買収し、ネットワークセキュリティ製品をラインアップに加えました。これを機に、エンドポイントからネットワークまで、統合的なトータルセキュリティソリューションを提供しています。
とくにソフォスがユニークなのは、単純にラインアップを揃えているだけでなく、エンドポイントとネットワークのセキュリティが相互に連係してお客様を守っていることです。「シンクロナイズドセキュリティ」といっていますが、これが当社の大きな特徴であり、強みなんです。
──シンクロナイズドセキュリティについて、もう少し詳しく教えてください。
例えば、クライアント端末がマルウェアに感染したとします。この場合、端末側からネットワーク側に通知を行い、ファイアウォールが、感染した端末をネットワークから隔離して不正な通信を遮断します。それから、クライアント端末のなかで復旧作業が行われ、完了すると自動的にネットワークへのアクセスを復元する。こうした一連の動作を、人の手を介さずにすべて自動で実行するというのが、当社がいうシンクロナイズドセキュリティです。
シンクロナイズドセキュリティは、次世代ファイアウォール/UTMの「XG Firewall」とエンドポイント製品の「Intercept X」で構成されており、「Security Heartbeat」というプロトコルで、相互のやり取りを行います。また、この両製品を管理する基盤として、クラウド型の統合管理コンソール「Sophos Central」があります。これらをソフォスでは、グローバルの戦略製品と位置づけていて、今後の成長の柱として展開していきます。この展開では、日本でも専任の部隊を用意し、パートナーやエンドユーザーに対してソリューションセールスのような形で、製品の訴求・販売をハイタッチで行います。
販売パートナーとの距離を詰める
──ソフォスは、グローバルで「チャネルファースト」の方針を掲げています。日本のパートナー事情に詳しい中西さんならではの戦略としては、どのような施策を打ちますか。
仰るように、ソフォスでは今、グローバルでパートナービジネスに主眼を置いています。ハイタッチで直接顧客にアプローチしていくという動きもとってはいきますが、あくまでもビジネスの主軸はパートナーです。日本でもグローバルの方針を踏襲し、国内におけるパートナー・エコシステムをきちんとつくっていきます。
現在、すでにディストリビュータと、その先の販売店を含め、たくさんのパートナーが当社の製品を取り扱っていますが、その数を何倍にも増やしていきたい。ですので、もっとパートナー開拓を推し進めるというのが、戦略上で一番の柱です。
──現状でも販売チャネル面で足りないと感じる部分があるということでしょうか。
そうですね。これまではどちらかというと、ディストリビュータをメインにチャネルビジネスを展開していました。逆にいえば、販売店やエンドユーザーがみえていないという課題があります。これからは、ディストリビュータを経由して、その先の販売店に直接タッチしていく動きを強化していきたいと思っています。
──具体的にはどのような展開を考えていますか。
販売店に直接おじゃまする担当の人員を拡充していきます。社内体制も変えていきたいと思い、実際に8月からは、「パートナー営業本部」のなかに、エンタープライズのお客様の開拓をともに実行する「SIパートナー営業部」と、SMB(中堅・中小企業)のお客様向けの「ビジネスパートナー営業部」を設けました。ディストリビュータと組んでチャネルを開拓していくとともに、同時並行でテレセールスをします。全国に多くの販売店があるので、一軒一軒回れるほどのリソースはありません。そのため、パートナーに対し、直接電話で必要な情報を提供しながら各パートナーの情報を吸い上げて、その状況に応じて直接営業が出向いていくというようなスタイルにしていきます。現在は東京にしか拠点がありませんが、新たな拠点を設けるということも含め、全国津々浦々をカバーできるような体制を見据えています。
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