勝つためには10倍のデータ活用を
──今後の事業展開について教えてください。
オープンソースとともに育っていく方針に変わりはありません。クラウド、IoT、ビッグデータが重要なキーワードになりますが、なかでも狙っているのは、ビッグデータの市場です。IDCジャパンの予測では、国内のビッグデータ市場は、16年は2283億円で、21年には3419億円になるといわれています。非常に大きく伸びるホットなマーケットなので、この部分にはとくに注力していきたいと考えています。
──ビッグデータについて、どのように活用すべきだとお考えですか。
今、世界中には4ゼタバイト(ZB)くらいのデータがあるといわれています。それが3、4年後には、さらに10倍くらいになり、非構造化データが爆発的に増えると考えられています。そのため、今あるデータの活用だけを考えていては、企業同士の競争を勝ち抜けないと思っています。どういうことかというと、今あるデータだけでなく、これから増えてくるデータも含めた活用を考えないと、競争に勝てない時代になってきたということです。われわれとしては、競争に勝てるプラットフォームを提供していきたいと思っています。
──パートナー戦略については、いかがでしょうか。
われわれは後発企業で、日本には2年前に上陸したばかりです。そのため、パートナーエコモデルの構築は、すぐにやらないといけないと思っています。グローバルでは2100社超がパートナーになっていますが、国内の販売パートナーでは、日本の企業はまだ5社だけで、圧倒的に少ない状況です。事業を拡大するうえで、パートナーは大きなキーになるので、しっかりと力を入れていきます。
──国内ビジネスの目標はありますか。
繰り返しになりますが、ITのイノベーションは、オープンソースが起こすと確信しています。ただし、デファクトスタンダードにならないと、すぐに消えてしまうことには、注意しなければいけません。国内で最も信頼されるデータプラットフォームのリーダーになることなどを目標に、エンジニアコミュニティ「ホートンワークスフレンズ」の拡大も進めていきます。
──最後に、今後の意気込みを教えてください。
ホートンワークスの価値は、オープンソースのデータプラットフォームを、どんなお客様でも安心して、安全に使っていただけることにあります。そして、一緒に仕事をすれば、イノベーションをビジネスに持ち込むことが可能になります。パートナーやユーザー、開発コミュニティを四位一体で頑張っていきます。
標準のオープンソースデータプラットフォーム=
ホートンワークスとして、徐々に世界的に認識されるようになってきた。
<“KEY PERSON”の愛用品>憧れの「モンブラン」を愛用
ドイツの高級筆記具ブランド「モンブラン」のボールペンを愛用中。1本は贈り物で、もう1本は自分で購入した。品質の高さと書きやすさがお気に入りで、「これで数々の契約書をまとめてきた」。なくさないように、名入れするのが廣川流だ。


眼光紙背 ~取材を終えて~
2017年3月にホートンワークスジャパンの社長に就任した廣川氏は、早くからオープンソースの力に注目してきた。膨大なデータが溢れることが予想される今後の時代では、オープンソースが果たす役割はますます大きくなるとみている。
日立製作所をキャリアのスタート地点とし、外資系企業を渡り歩いてきた。転職する際、人からは「どうしてそんな小さな会社に」といわれることもあったという。しかし、「オープンソースの革新性は半端じゃない」とよみ、数々の事業を成長させてきた。
根底にあるのは、「世の中を変えたい」という気持ちだ。新天地での生活は「ものすごく忙しい」と話すが、表情は充実感でいっぱい。オープンソースの可能性を信じ、新たな頂に向けてフル稼働する方針だ。(鰹)
プロフィール
廣川裕司
(ひろかわ ゆうじ)
1959年、神奈川県生まれ。81年、慶應義塾大学工学部卒業。同年、日立製作所入社。日立ヨーロッパ(デュッセルドルフ)、日立データシステムズ(HDS)(本社米国サンタクララ)副社長を経て、98年から2003年まで日立製作所においてストレージのグローバル営業部門統括として、日立ストレージシステムの世界シェアNo.1奪取をリード。サン・マイクロシステムズ日本法人執行役員営業本部長、日本BEAシステムズ代表取締役を歴任後、08年にレッドハット米国本社副社長兼日本法人の代表取締役社長に就任し、8年連続2桁成長、日本事業3倍以上の拡大を達成。16年、ミドクラジャパン株式会社の代表取締役社長に就任。17年3月、Hortonworksの米国副社長兼ホートンワークスジャパン執行役員社長に就任し、現在に至る。
会社紹介
ビッグデータの活用に必要なデータ分析プラットフォームの開発、販売、サポートを行っており、Apache Hadoop、Apache Spark、Apache Kafka、Apache Storm、Apache NiFi などのオープンソースに100%コミットし、ビッグデータコミュニティをリードしているホートンワークスの日本法人。グローバルでの昨年度(2016年12月期)の総取扱高は270Mドル(前年同期比162.7%)、売上高は184.5Mドル(前年度比151.4%)。2015年の売上高は121.9Mドル、ソフトウェア企業として最速で売上高100Mドルを達成している。ホートンワークスはクラウド、ビッグデータ、IoTの三つの市場を狙い活動を展開している。