売上高を20年には300億円へ
──今年、創立20周年という節目を迎えましたが、今後に向けた取り組みと目標を教えてください。
まずは私の前にいた3人の経営者に感謝をしたいです。ここまで会社を育てるには大変なご苦労があったと思う。そのような会社を任せてもらえたことに、責任を感じるとともに感謝をしています。そして、感謝を形にするためにも、会社を成長させていきます。
今、働き方改革として、大企業だけではなくさまざまな企業がそちらの方向を向いています。働き方を変えて、在宅ワークやサテライトオフィスが増えるということは、当社の強みを生かせる現場が増えるということです。しっかり事業として捉え、キャッチアップしていきます。
今もっている経営資源を進化させるだけではなく、新しいものを追加していくのも重要です。幸いにも、ソフトウェアロボットの技術をもつキューアンドエーワークスのように、これからの時代に必要となる素材をもったグループ会社がいくつもあります。こうしたものを組み合わせることで、当社だけではなくグループ全体で事業を拡大させることができると考えています。あとはどう組み合わせてリーチしていくかです。こうして事業を拡大させ、現在の売上高は180億円ですが、20年には売上300億円を目指します。
これからの時代に必要な素材をグループ会社がもっている。
組み合わせてグループ全体で事業を拡大させる。
<“KEY PERSON”の愛用品>アナログ三種の神器
ビジネスの必需品は、大学ノート、メモ帳、手帳のアナログ文具三種類だ。ノートは会議用に、メモ帳は「ネタ帳」として使い、常に鞄やポケットに入れている。しかも筆記具に、簡単に消せるシャープペンを使うのが川田氏のこだわりだ。


眼光紙背 ~取材を終えて~
創立20周年を迎えるキューアンドエーで、「私が一番新しい社員だ」と笑う川田社長。創業者、先々代、先代と歴代の経営者に対して、「彼らはゼロを1にしてきた人たちだ。創成期から今の安定期まで会社を育ててくれた。相当のエネルギーとご苦労があったと思う」と感慨深げに語る。
そうして引き継いだキューアンドエーという会社を、川田社長は「秘伝のたれ」になぞらえて語る。「創業者がつくったたれを、継ぎ足し継ぎ足しして20年間つないできた。この秘伝のたれを受け継いだ私は、より味わいを深めていきたい」という。そして、川田社長のもう一つの目標が事業拡大だ。事業が広がることで秘伝のたれの味つけが薄くなることもあり得る。しかし川田社長はひるまない。「それは成長のために必要な痛み、成長痛のようなものだ。むしろ、成長をしている証でもあるので、うれしい痛みだ」という。
痛みを恐れず壁に挑み、そして乗り越えたとき、秘伝のたれは深みとコクがさらに増すに違いない。(海)
プロフィール
川田哲男
(かわだ てつお)
1959年、神奈川県川崎市生まれ。82年、武蔵大学経済学部経済学科卒業後、日本電気(NEC)に入社。2014年4月にNECネッツエスアイに入社し、執行役員営業統括本部第二企業ソリューション営業本部長に就任。17年6月にキューアンドエーの代表取締役社長に就任。
会社紹介
1996年11月、横河電機の社内ベンチャー制度で設立された横河マルチメディアと、97年7月に設立されたパソコン機器などのコンタクトセンターサービス事業を行うキューアンドエーが、2001年に事業統合して横河キューアンドエーとなり、06年2月に現社名に変更した。「オンサイト(訪問)サポートサービス」「コンタクトセンターサービス」の二つの事業を核に、全国でサービスを展開。顧客の状況に合わせた方法(訪問・電話・メール・パソコンの遠隔操作など)でメーカーの種別や機器の種類を問わずにワンストップでサポートする「ワンストップ・マルチベンダー/クロスカテゴリー」のソリューションを提供している。