サービス化したビジネスを強化
──中堅・中小企業向けの事業で今年は成長率30%を達成しました。来年、それ以上の結果を出すのは難しいのではないでしょうか。
いいえ、次もかなりの成長を見込んでいます。まだまだ氷山の一角しか開拓できていないと考えています。開拓した市場も、Cisco Startやネットワークしか提案できていません。シスコにはまだサイバーセキュリティやコラボレーション製品、アナリティクス、ストレージ、コンピューティング、サーバーなど豊富なポートフォリオをもっていますので、お客様に対してもっと幅広い製品やサービスを提供していく計画を立てています。それにより、中堅・中小企業向け市場をかなり開拓できると考えています。
多くの企業様がデジタル化の課題を抱えています。そこを支援するために、現在実証実験段階のIoTソリューションやパートナーと開発したソリューションを実装に移し、提供していきます。
販売の仕方も多種多様に取り入れていきます。これまでシスコはネットワーク機器を提供しているイメージが強かったと思いますが、これからはハードウェアよりもソフトウェアを、つまりサービス化したビジネスを強化していきます。ハードウェアを提供するだけではなく、お客様のインフラのライフサイクルを考慮したうえで、おつき合いをさせていただきたいとの考えからです。また、ハードウェアにクラウド型管理ソリューションを組み合わせて提供することで、管理や構築、設計の時間を圧縮し、利便性を高め、さらにインフラへの投資も最適化します。企業のビジネスの動きに合わせてインフラを提供していきたいと考えています。
これからの企業はオンプレミスかクラウドかの選択だけではなく、マルチクラウド化も求められています。マルチクラウドでは、分散したデータを一元管理、制御しなくてはいけません。シスコは、それを簡単に実現できる次世代のプラットフォームを提供していきます。
お客様はコアビジネスをおもちですから、そのコアビジネスを1、2年先までではなく5年先までどう支えるべきか。青写真を描いてそこに向けてシステムの設計、企画、構築、管理、運用をサポートできる新しいサービスも開発していきます。
シスコは「東京2020オリンピック・パラリンピック」のオフィシャルパートナーです。20年を見据えてスマートシティづくり、スマートスタジアム、スマートビルディングなど社会インフラに貢献できるソリューションを世に発信していきたいです。
シスコのもつ幅広い製品、機能をアピールするため
ソリューションごとに五つのキャラクターをつくりました。
<“KEY PERSON”の愛用品>目立つPCバッグで盗難対策」
以前、海外出張をした際、空港でPCバッグを盗まれた。警察は、黒いPCバッグは数が多すぎて探すのは無理だという。それ以来、目立つ色のPCバッグに変えた。色は好きな濃いピンク。もう10年も盗難にあっていない。
眼光紙背 ~取材を終えて~
シスコは、同社がもつ先進的な技術やツールを生かして、10年前から柔軟な働き方改革に取り組んできた。こうした取り組みをしっかりと定着させるためには「社風など、自由度を受け入れられる体制が大事」と鈴木社長は語る。
すでに人事評価は時間で人を管理するのではなく、成果で評価するようになり、マネージャーと常に目標を共有し、どういうサポートが必要かという情報を交換しながら仕事をする体制が整った。さらに社員の満足度と効率を高めるため、18年にはオフィスの刷新を計画している。
まず、社員のフォーカスグループを立ち上げ、いろいろな部署のスタッフから自分たちが望んでいる働き方を吸い上げ、反映していくという。社員の働き方を社員が考える。まさに先進的な働き方改革といえるだろう。(海)
プロフィール
鈴木みゆき
(すずき みゆき)
1960年、東京生まれ。82年、オックスフォート大学を卒業後、ロイター社に入社し、97年に東南アジア代表取締役に就任。98年ブロカット社のアジア代表取締役に就任。2000年、CAZH社を創設し、CEOに就任。02年、日本テレコムに入社し、専務執行役員兼コンシューマー事業本部長に就任。04年、レクシスネクシス社のアジアパシフィック代表取締役社長兼CEOに就任。06年、KVHの代表取締役社長兼CEOに就任。11年、ジェットスター・ジャパンの代表取締役社長に就任。15年5月、シスコシステムズの代表執行役員社長に就任(現職)。
会社紹介
米国シスコの日本法人。すべての人、あらゆるプロセス、データ、モノがつながることで、人々の生活、仕事、娯楽、学習の仕方を大きく進化させる変革の絶好のチャンスだと捉え、すべてをつなぐ中核にあるネットワークシステム、ソリューション、これに関するサービスを提供する。IT、ネットワークソリューションのリーディングカンパニーとして、ネットワークの力で、あらゆることを可能にし、日本のデジタル変革に貢献している。