ダントツのニッチトップへ
──今後の目標を教えてください。
20年までの3か年を期間とする中期経営計画では、「100年企業への 2nd Stage ー持続成長のための革新的価値創造ー」をコンセプトにしています。これまでの当社は、「就業管理のアマノ」というイメージが強かったと思いますが、これからは、「HRソリューションベンダーのアマノ」としてビジネスを展開し、就業管理や人事、給与のトータル提案を一層、強化していきたいと思っています。
数値目標としては、20年3月期に連結で1400億円以上の売上高を設定し、このうち情報システム事業は320億円以上の売上高を目指しています。達成するために、断トツのニッチトップの領域を増やしていくつもりです。就業管理は、おかげさまでナンバーワンのシェアを獲得しています。しかし、給与と人事はナンバーワンではありません。ナンバーワンに近づくために、自前の技術だけではできないケースもあるので、その際はオープンイノベーションの考えを利用しながら外部の技術を取り入れるほか、M&Aも視野に入れながら進めていきたいと思っています。
まだ成果のお話はできませんが、ベンチャー企業との資本提携もしていますので、しっかりと新しい仕組みを構築することも目指していきます。
──社長としての意気込みを聞かせてください。
一人ひとりが1%でいいから成長し続ければ、どんなに状況が悪くても、組織全体として大きな業績につながるという考えをもっています。社長に就任した時、社員には三つのことを伝えました。一つめは、常に創造的な仕事をやり続けるということ。二つめは、小さなことをしっかりやらないと、大きな仕事はできないということ。三つめは、リーダーとメンバーがコミュニケーションを取って、しっかりとした人づくりをしていこうということです。これらを着実に実行し、これまでの取り組みをさらに進化、発展させていくつもりです。
また当社には、歴代社長に受け継がれている経営の指針として、不易流行の実践があります。変化を恐れずに挑戦し、残すものはしっかり残し、変えるものは変えていくつもりです。変化を積み重ね、新しいお客様や市場を開拓したり、新しい商品を開発したりすれば、結果として100年企業の実現につながっていくと思っています。
一人ひとりが1%でいいから成長し続ければ、どんなに状況が
悪くても、組織全体として大きな業績につながる。
<“KEY PERSON”の愛用品>上司からもらった思い出の電卓
30年以上前、初めての転勤時に上司からもらったシャープの電卓。故障は一度もなく、いまだに現役で使い続けている。「ボタンの大きさや押した時の感触が使いやすい。思い出の品として愛着もあるし、ほかのものには代えられない」という。
眼光紙背 ~取材を終えて~
2031年の創業100年に向け、経営陣の若返りを図ったアマノは、生え抜きの津田博之氏を新社長として抜擢した。17年6月に社長となった津田氏が、これまでの約半年を「本当に時間が経つのが早かった」と振り返るのは、それだけ充実した日々を送っていたからだろう。
新卒でアマノに入社した津田社長は、入社36年目を迎えた。これまでのキャリアでは、国内営業を32年にわたって担当し、最前線で顧客の状況をみつめてきた。社長になってからは仕事の内容が大きく変わり、責任も増した。インタビュー中の受け答えでは、慎重に言葉を選んでいた印象だ。
社長1年目は、「ブーム」ともいわれる働き方改革が好影響し、業績は堅調に推移している。今後の見通しも明るい。モットーとする「常に1%の成長」を社内に浸透させ、さらに大きな成長に導けるか。津田社長の経営手腕に注目したい。(鰹)
プロフィール
津田博之
(つだ ひろゆき)
1960年、滋賀県生まれ。82年3月、立命館大学経営学部経営学科卒業後、同年4月にアマノに入社。関東営業本部長兼大宮支店長、理事中部営業本部長、執行役員中部営業本部長、アマノマネジメントサービス社長、執行役員事業総括を歴任し、17年6月から現職。
会社紹介
1931年11月に創業し、国産タイムレコーダー第1号機を開発。66年6月に「アマノ株式会社」に社名を変更し、翌67年8月に東京証券取引所第1部市場に上場。就業管理システムのほか、駐車場のパーキングシステムなどを手がける。17年3月期末の業績(連結)は、売上高1201億2400万円、経常利益138億600万円。