技術で市場拡大を導く
──GPUなどコンピューティングの部分の成長は著しいですが、ストレージやネットワークなど、解決すべき課題はまだ多いように感じます。
そうですね。過去にもAIブームはありましたが、それほど注目されませんでしたし、広く普及するということはありませんでした。それは処理するGPUのようなコンピューティング基盤が十分ではなく、データを収めるストレージや、データを送る通信インフラも十分ではなかったからです。12年にキーとなるテクノロジーが揃い、今のAIの潮流が起こりました。
とはいえ、すべてが揃ったわけではありません。コンピューティング基盤が揃えば、それに合わせてストレージの開発が進み、通信技術の開発が進んでいきます。AI市場の成長はこの先数十年続くでしょう。その間に各技術の成長に凹凸が出ることは自然なことだと思います。私たちはAI市場を引っ張っていくため、より進んだ技術を生み出していきます。
──すぐれたコンピューティングとして量子コンピュータが注目されていますね。
私たちも量子コンピュータの分野をかなり研究していますよ。一つの技術が市場で使われるには、そのコアの技術だけでは不十分です。コアの技術を使いこなすためのソフトウェア、使いこなせるエンジニアが必要です。私たちは、私たちのテクノロジーを使いこなせる環境、使いこなせるエンジニア、パートナーなどのサポート体制などを築き上げてきました。量子コンピュータは個人的に非常に興味があり、今後の可能性を秘めていると思います。しかし、クリアすべき課題は多く、市場で使われるにはまだ時間がかかると思っています。とはいえ、いずれこうした課題をクリアするでしょう。そこに向けた研究・開発をすでに進めています。
これからのマーケットの新しい将来をつくっていこうとしている会社として、
チェック・ポイントのことを理解していただきたいです。
<“KEY PERSON”の愛用品>アナログ思考を保つ儀式
デジタルな業界にいながら、アナログ思考を大事にする。毎朝思ったことをペンが動くままに手帳に書き込むことで思考をアナログに落とし込んでいる。会社でも家でもこの儀式を行うため、手帳は肌身離さず持ち歩いている。


眼光紙背 ~取材を終えて~
IT業界では、スポーツを趣味にしている人が意外と多い。そのなかで大崎日本代表は、ビジネスマンこそ、頭を使うアスリートだと話す。スポーツの経験のある人ならわかるだろうか、日々同じ負荷を体にかけ続けるだけでは体の成長は一定のところで止まってしまう。時に休ませ、栄養を取ることが必要。この栄養、大崎代表の脳のサプリメントが自宅に保管しているノートだという。
月に8~10冊ほど書籍を読む大崎代表は、感銘を受けた文章に印をつけ、書籍にも印をつける。これを年末や年始などの区切り目にノートに書き写している。この作業は12年も続けている。こうして書き写した文章を読み直すことが脳のサプリメントになるという。例えば、日曜日の夜、ノートを読み直し、その後瞑想をする。脳に栄養と休息を取らせて月曜日から始まる1週間に備えるわけだ。「疲れたとき、迷った時に脳のサプリメントで自分自身を勇気づけている」と大崎氏は語る。(海)
プロフィール
大崎真孝
(おおさき まさたか)
1968年、兵庫県生まれ。91年に大学卒業後、日本テキサス・インスツルメンツに入社。大阪でエンジニアと営業を経験した後、米国本社に異動し、ビジネスディベロップメントを担当。本社勤務を含め20年以上、DSP、アナログ、DLP製品など幅広い製品に携わりながらマネジメント職に従事。2014年にエヌビディアに入社し、エヌビディア ジャパンの代表に就任。首都大学東京で経営修士号(MBA)を取得している。
会社紹介
米国で1993年に設立し、日本オフィスを2000年に開設。99年に開発したGPUは、PCゲーム市場で評価され、コンピュータグラフィックスの世界で確固たる地位を築いた。最近では、GPUが得意とする並列処理が、AIの計算に向いていることから、AIブームの新時代の火付け役となり、世界を認知して理解できるコンピュータ、ロボット、自動運転車の脳の役割としても期待されている。