まもなくNetApp HCIが次の進化の時を迎える
――今後、投資をしていく分野について教えてください。
従来型のアプリケーションであってもクラウドネイティブなアプリケーションであっても、情報処理速度の高速化が求められています。NetAppは、「データファブリック」というビジョンに基づき、お客様のオンプレミス、パブリッククラウドにあるデータを統合的に管理できるようにしました。お客様はアプリケーションを素早く開発できる環境を手に入れることができるわけです。それに加えて、メモリーベースのファイルシステムテクノロジーに投資をし、スピードを担保しようと考えています。
データセキュリティーも重要です。データが分散化していく中で、データのガバナンスを統合化する必要があります。誰がどのデータにアクセスしているか、そしてそのデータにアクセスすることを許されているか、こうしたことを見えるようにします。この分野でも継続的に投資を続けていきます。
――17年に発売したHCI製品「NetApp HCI」はどのように進化するのでしょうか。
ビジネスでインパクトをもたらすためには、データとアプリケーションをつなぐ必要があります。いろいろな場所にデータが分散していますが、共通のやり方でデータを管理できるようにしようと考えています。そしてデータのパイプラインとアプリケーションをつなぐことができれば、どのようなインフラであっても展開することができます。今は主要なパブリッククラウドで使える環境を整えています。まもなく、NetApp HCIもパブリッククラウドと同じぐらい簡単に展開できるようになります。
Favorite Goods
常に持ち歩く家族写真は、約7年前に撮影したものだ。当時、息子の目の裏に腫瘍ができ、9時間にわたる大手術を受けた。手術の助けとなったのが超高解像度のデジタル画像とそれを格納したNetAppのストレージだ。写真を見るたび、NetAppが人々の助けとなっていると実感できるという。
眼光紙背 ~取材を終えて~
IT業界の双子のキーパーソン
ジョージ・クリアン最高経営責任者が「52年来の友人」と話す相手は、米オラクルのバイスプレジデントを務めた、双子の兄弟であるトーマス・クリアン氏のことだ。インド生まれの彼らは大変仲良しで、よく入れ替わるいたずらをしたという。「学生時代は私が苦手な授業にトーマスが出たり、その逆にトーマスの授業に私が出たりしていた。もしかしたら、私の代わりにトーマスがNetAppに出社することもあるかもね」と茶目っ気たっぷりに話す。
そんな二人が同じIT業界に進んだのはたまたまだというが、実は必然だったのではないだろうか。二人は大学で初めてPCに触れた。時代は1986年、パーソナルコンピューターが普及し始め、教育機関にマッキントッシュが導入されるようになった時期だ。当時の彼らにとっては、大きなイノベーションとなったことだろう。
今、二人は同じITの世界にいる。最近は会えば子どもの話ばかりでIT業界について話す余裕はほとんどないという。それでも「私もトーマスも、テクノロジーを使って世界をより良くすることができると信じている。世界を良くするためにテクノロジーを使おう、というのがテクノロジーインダストリー全体の考え方だ。このITの時代に、正しく、賢明にテクノロジーを使うことができれば、世界は必ず良くなる」とIT業界をリードする双子は信じている。
プロフィール
ジョージ・クリアン
(George Kurian)
1967年、インド・ケーララ州生まれ。プリンストン大学で電気工学の学士号、スタンフォード大学でMBAを取得。NetApp入社前はCisco Systemsでアプリケーションネットワーキング、スイッチングテクノロジグループのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務め、モジュラー型キャンパスLANスイッチング市場とWANアプリケーション配信市場向け製品を統括した。2011年4月にNetAppに入社し、15年6月に最高経営責任者(CEO)に就任。
会社紹介
1992年設立の米NetAppは、企業向けストレージ、データ管理ソリューションを提供する。収益は約60億ドルで、世界中に110のオフィスと1万1000人の従業員を抱える。オール・フラッシュ・アレイ、ブランドストレージOS、ストレージ&デバイス・マネジメント・ソフトウェアで世界第1位のシェアを持つ。