AWSの国内有力パートナー“御三家”の一角であるサーバーワークスは今年3月、東証マザーズに上場した。上場初日は買い注文が殺到して取引が成立せず、上場2日目についた初値は公開価格の3.8倍。市場の期待の大きさがうかがえる。サーバーワークスはなぜ今、上場を決断したのか。その背景には、クラウドビジネスを取り巻く大きな環境の変化がある。
上場して「大人の会社」になった
――上場から3週間経ちましたが(インタビューは4月4日)、株価は依然として好調のようですね。
市場の期待が非常に高いのはありがたいことです。ただ、今の株価が期待値込みであることは理解しています。業績をしっかり上げていくことが大事です。
――4月15日には決算発表を控えていますが、2019年2月期についてはどう自己評価されていますか。
「ちゃんとした数字」になったのは良かったです。売り上げはずっと順調に伸びていたんですが、利益を目標にミートさせるというのが、18年2月期はできなかったんです。19年2月期は予定通りに利益を出すことができました。ただ、数字というよりも、体質そのものが良くなったなという手応えが大きいですね。
――体質が変わったというのは、具体的にはどんなところでしょうか。
細かいところでいうと、予実管理の精度ですね。上場企業であれば当然求められるので、これをしっかりできるようになったのが一番良かったところです。どうしてもクラウドみたいな新しいビジネスは新しいイベントが発生しやすくて、予実精度を高めるのって結構難しかったりするんです。当社はクラウドビジネスを始めてから10年以上経っていますから、そういう蓄積が生きました。
――そもそもこのタイミングで上場した理由は、なんだったのでしょうか。
社会的な信用を獲得するというのが最大の目的です。クラウドはまだまだほとんどの人にとって新しい概念なので、導入に当たってはチャレンジングなところがある。そして、AWSにしろAzureにしろ、クラウドベンダーのサービスは標準サービスなので、自分たちの組織にフィットさせるためにパートナーの手を借りるケースが多いと思うんです。その時にユーザー側から、パートナーが自分たちの状況を理解してくれないとか企業として洗練されていないみたいなイメージを持たれてしまうと、クラウドそのものに疑念を抱かれ、「使えない」と思われてしまう可能性がある。それをどうしても避けたかったんです。
――上場して、会社として少し大人になった?
そうですね。われわれはエンタープライズのお客様からインフラをまるまるお預かりするみたいなオーダーが非常に多いので、オペレーションやガバナンス、財務基盤がしっかりしているかというのは、私たち自身が重視していることでもあります。上場のプロセスを通じてそういう体制をつくることができて、企業として次のフェーズに進めたかなと考えています。基幹系のようなシステムまで含めて、クラウドの利用がエンタープライズITの世界で当たり前になってきた今だからこそ、必要な取り組みだったということですね。
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