マイクロソフトとの協業を強化
――ソリューションを組み立てるため、現在どのような業種のパートナーと連携していますか。
データセンターのモダナイゼーションにパブリッククラウドは欠かせません。主要なクラウドベンダーと協業していますが、その中で現在、関係を強化しているのが日本マイクロソフトです。私がマイクロソフトに勤めていた時、パブリッククラウドのAzureに取り組んでいました。マイクロソフトがこれからどういう方向に進んでいきたいのかは分かっています。
協業の一例として、昨年リリースしたのが「ThinkAgile MXシリーズ」です。レノボのサーバーにマイクロソフトのソフトウェアを組み込んだMicrosoft Azure Stack HCIソリューションです。HCIを活用してデータセンターのモダナイゼーションを、と考えているお客様は多いです。ハイブリッドクラウドを実現できるAzure Stack HCIの提案を、レノボとして加速していきたいと考えています。
――マイクロソフトと構築したソリューションを広く拡販するために、どのような取り組みをされていますか。
ここでもマイクロソフトに協力してもらっています。4月中旬に、販売パートナー向けのセミナーを実施しました。ここでAzure Stackのメリットや販売戦略について説明してもらいました。レノボとマイクロソフトの2社で組み立てたソリューションを、一緒に販売パートナーに提案しています。
また、レノボのスタッフ教育にも協力してもらっています。技術セールスチームは、パブリッククラウドの利用例やAIの活用例などのトレーニングをマイクロソフトから受けてます。レノボがパブリッククラウドを販売するわけではないので、これまでは個人レベルでの勉強やトレーニングにとどまっていました。ですが、マイクロソフトの協力を得て、社内トレーニングとして取り組むことができるようになり、これによりソリューションの営業力がさらに強化できると思います。
Favorite Goods
就職して1年くらいした頃に購入したブライトリングの腕時計。新人にはまだ早いと思ったが、いい時計に見合うよう仕事を頑張り、成果を出そうと、自分を鼓舞するために購入。店頭で一目ぼれしたシンプルな文字盤のデザインと青い色が今でも好きだという。
眼光紙背 ~取材を終えて~
『ジョン』流チームワーク戦略で組織変革
クラウドやAIなど、新しいテクノロジーを導入するだけではデジタルトランスフォーメーション(DX)は実現しない。時には組織のあり方から変える必要がある。顧客のDX推進を支援する、というミッションに取り組むためには、「チームワークが重要だ」とロボトム社長は語る。独自に発想したチームワーク戦略を、ロボトム社長は実践し始めている。
来日して15年。「飲みニケーション」と呼ばれる日本独特の文化は理解しているが、「飲みの場でしか本音で語れないのはもったいない。むしろ仕事中に本音で語ろう。パッションが高まりすぎて喧嘩してもいいじゃないか。飲みの場で謝れば」と笑う。社員同士、胸襟を開いて語り合うための第一歩としてロボトム社長は「私のことをジョンと呼んで」と伝えている。社長に対してフラットに呼び掛けることで、社員同士がもっとオープンに語り合えるように、というのが狙いだ。
もう一つが、ほかの社員のSOSに気が付くようになることだ。「別の部署のタスク漏れの指摘を受けることがある。その時、あなたに手伝えることはないの?と問い返す」とロボトム社長は語る。仕事をしていく上で、多少なりともゆとりがあれば、ほかのチームや隣の部署の溢れてしまったタスクを手伝う。一人が少しずつ手伝うことで溢れたタスクは徐々に減っていく。「他人の仕事を手伝うのが嫌だというわけではなく、手伝うという発想がなく、また気が付かなかっただけ。誰かを手伝えないか、と考えることでSOSにも気が付きやすくなる」とみる。
ロボトム社長のチームワーク戦略は始まったばかり。意識せずできるようになる頃には、レノボのチームワークは強固なものになっているはずだ。
プロフィール
ジョン・ロボトム
(Jon Robottom)
オーストラリアで、フォード クレジット(1996年入社)、サン・マイクロシステムズ(2001年入社)に勤めた後、04年に来日。ソルコープジャパン、サン・マイクロシステムズ、ブラックロック・ジャパンに入社。09年にデルに入社し、マネージドサービスディレクター、グローバルエンタープライズソリューションズ営業本部本部長、グローバルエンタープライズソリューションズ営業本部APJ本部長、サービス営業統括本部長を歴任する。16年に日本マイクロソフトに入社し、業務執行役員第一インダストリー統括本部長、執行役員常務グローバル事業本部長を歴任。19年1月にレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの代表取締役社長に就任する。
会社紹介
中国レノボグループ100%出資の子会社。レノボのサーバー、ストレージ、HCI関連製品の保守・販売など、エンタープライズ事業に関するデータセンターソリューションを日本市場で提供している。