“現場”での協力を強める
――市場を広げていくための具体的な戦略は。
国内のアプリケーションベンダーとの協業を強化していくことを考えています。今までは、BIベンダーのツールを使うというレベルでしたが、弊社とアプリベンダーの強みや専門性を生かしてソリューションを開発し、それを両社共同でプロモーションを行い、市場を開拓していくという新しい取り組みを進めていくつもりです。アナリティクスは、現場の判断に必要なものを提供することを目的としています。現場のニーズに応えていくためには、現場をよく知っている業務アプリケーションベンダーとの協力は非常に重要になると考えています。
――具体的な計画はありますか。
製造業向けのIoTソフトウェア/サービスを提供している企業と知り合いになりました。そのベンダーは、センサーを製造機械につけて、稼働状況をモニタリングすることに長けています、一方、集めたデータを分析することはあまりできていない。弊社は逆に分析が強いが、製造機械からデータを収集することには強くない。お互いの長所を生かして協業することで、よりお客様のお役に立つソリューションが提供できるようになります。これは、実は今まではなかったことで、協働することでシナジー効果の向上を目指します。新しいソリューションは、今年後半に展開する予定です。
――中堅中小の企業というと、全国各地の企業も対象になると思いますが、重点地域についての方針はありますか。
お客様の所在地を見ると、今は圧倒的に東京が多いです。われわれのビジネスは東京寄りになっているので、まずは東京で開拓を進め、チャンスがあれば、ほかの地域にも積極的に進出するつもりです。地方のパートナーは、各地で顧客を抱えていますので、一緒に組んでビジネスを展開していくことは当然あり得ると思っています。
――最後に意気込みを聞かせてください。
アナリティクスといえばテラデータと世の中の人に言ってもらえるくらい知名度を上げて、従業員が誇りを持って働けるような会社にしたいと思っています。調査会社のデータを見ると、アナリティクスの市場規模は毎年伸びているので、しっかりとシェアを獲得し、売上規模で今の3倍くらいの成長を目指します。
Favorite
Goods
50歳の誕生日に、息子からプレゼントされた木製のボールペン。「もう何十回も芯を変えている」と言うほど使い込んでいる。「50th passing point」の刻印入りで、「息子から『ずっと頑張れよ』と言われているようだ」と笑う。
眼光紙背 ~取材を終えて~
チャンスをつかむために挑戦を続ける
「現状に満足せず、挑戦する者だけにチャンスは訪れることがある」という信念を経営者として大切にしている。
30年以上、運動を続けており、自宅にはランニング用にトレッドミルを導入した。愛用する手帳には、日々の運動の記録がびっしりと書かれている。走る時は、あえて若者に人気のヒット曲を聞くようにしている。「好きでも嫌いでも、とりあえず聞いてみないと、今の若者の好みが分からなくなってしまう」からだ。
新しいものは好きな性格だが、それでも年齢を重ねるにつれて「好奇心が減っている」と感じる。一方で「好奇心を持っていないと、世の中の変化に合わせて自分が変わっていけない」との思いもある。だからこそ「新しいものには、とにかく首を突っ込むべきだ」と考えている。
「仕事で満足感や充実感を得るためには、成長を実感することが重要で、そのためには、常に新しいことに挑戦して成功を目指すことが大切だ」と語る。挑戦すれば必ずチャンスが訪れるとは限らない。しかし、チャンスをつかむためには、成長を続けることが一番の近道だと信じている。
プロフィール
高橋倫二
(たかはし ともじ)
名古屋大学農学部を卒業後、1984年4月に日本IBMに入社。ITS事業部長や西日本支社長、エンタープライズ営業統括副統括本部長などを歴任。米国本社IBMコーポレーションのディレクターを経て、2009年に執行役員に就任。14年に常務執行役員としてレッドハットに入社し、エンタープライズビジネスを担当。17年にテラデータ・コーポレーションの日本法人代表取締役社長に就任。愛知県出身。
会社紹介
データ・アナリティクス向け製品を手掛ける米テラデータ・コーポレーションの日本法人として2007年4月に設立。従来の主力であるデータウェアハウス(DWH)やビッグデータ分析基盤などを組み合わせたデータ・アナリティクス基盤ソフトウェア「Teradata Vantage」に注力している。パブリッククラウドやハイブリッドクラウドにも対応し、As a Service、従量課金モデルなどクラウド時代に合わせた提供形態を用意している。コンサルティングサービスでは、ビジネスを支えるデータとアナリティクスの活用戦略立案から構築、運用までを一貫してサポートする。