キノトロープ(生田昌弘社長)がグループ戦略を強化している。今年4月までの約半年間に5社の子会社を立ち上げ、ウェブ構築の基礎となるコンサルティングから実際の制作まで一貫して受注・制作するグループ網をつくった。同社はウェブ制作を中心としており、その大半を社内で行っているのが特徴。一連のグループ会社新設により、グループ内における制作能力を高めるのが狙い。

 制作母体であるキノトロープに加え、ウェブの投資対効価を評価するオーセンティア、映像コンテンツのクリエイティブホープ、ニュース配信のカンダニュースネットワーク、携帯・PDAソフト開発のピュアコード、ウェブプロデューサーなどの人材教育を手がけるイノベーションラボの5社を、この4月までに相次いで立ち上げた。

 オーセンティア社内の事業部にウェブの利用率向上を目的としたコンテンツ制作担当の事業部「コンテンツプラス」があるが、同事業部も「場合によっては会社組織にする」(生田社長)と、事業形態に合わせてグループ企業化する方針。ほかにも、独立性の高い事業部として、ストリーミング制作のクリエイティブホープの社内に、写真スタジオ運営の「エムズファクトリー」などがある。

 同社は、国際キャピタルや野村證券、ダイヤモンドキャピタルなどの投資会社から約6億円の資金を調達、これを元手に制作中心のグループ展開を推し進める。

 生田社長は、「ネットバブルが弾け、企業は本当に効果があるウェブにしか投資しない。コンサルティングから制作、効果測定まで、すべてグループ内で手がける当社の強味を前面に押し出すことで差別化を図る」と話す。

 「常時接続の利用者が急増し、ウェブの重要性は増している。だが、広告媒体としての効果はきわめて薄いことが判明している。当社では“顧客とのコミュニケーション手段”としてのウェブ制作を重視する。あわせてウェブを通じて入ってくる顧客の声や要望をきちんと事業展開に結びつけられるよう、企業のBPR(業務の流れや会社組織の見直し)にも踏み込んでコンサルティングする」考え。

 キノトロープは、来年設立10周年を迎える。年商はグループ全体で10億円。社員数は同80人。

 「顧客の引き合いの強さから見れば、社員数1000人規模でもやっていける。すでに欧米における当社と同様の業態で1000人規模の企業がいくつかある。だが、急に拡充すると制作の品質が落ちる恐れがあるので、当面はグループ全体で100人体制を目指す」

 制作を主体としているため、営業力は弱い。だが、“品質と効果重視のキノトロープ”とのブランド力を武器に、これまで通販のオルビス、教育の公文教育研究会、東急ホテルズなど大口の案件を多数受注した実績をもつ。

 「顧客企業を増やすのは簡単だが、今のグループ80人の制作体制では限界がある。現在、同時に進める案件で5社程度に絞り込んでいる」のが現状という。

 株式公開について、投資会社からは、「キノトロープ流の制作品質を重視する戦略を認めてもらっている」と、基本的には業容の急拡大はせず、コツコツと積み上げていく方式。一方で、「グループ体制が整った今年から来年にかけて、成長段階に入る。ウェブ制作市場も本物志向が強まっており“追い風”が吹いている」と強気だ。

 アドレスはhttp://www.kinotrope.co.jp/。