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マイクロソフト ゲイツ会長、小学校を訪問

2003/03/03 19:14

週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載

講演はネットでライブ中継も

 マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が2月25日、東京・千代田区立昌平小学校を訪問、同校や岡山県の小・中学生に向けてテレビ会議などを通じて講演を行った。ゲイツ会長が日本の小学校を訪れたのは初めて。

 今回の訪問は、マイクロソフトをはじめ国内18社の教育関連企業が昨年5月に設立した学校のブロードバンド化を支援する「ブロードバンドスクールコンソーシアム」構想の一環となる記念イベント「ビル ゲイツ 子供たちに科学の夢を語る」と題して実施。このなかで同会長は、「2010年にはパソコンで宿題をする時代が来る」と、子供たちに語りかけた。

 ゲイツ会長はこの日、無線LANによる1人1台のノートパソコン環境で行われた社会科の授業を参観。自らもマイクロソフトのOSを搭載したタブレットPCを持ち歩き、学校関係者に質問しながら授業を見学した。その後、体育館で約200人の児童や教師に向けて約10分間の記念スピーチを行い、児童との質疑応答などを実施した。この模様はブロードバンド経由で岡山市立西小学校にもライブ中継された。

 記念スピーチでゲイツ会長は、「私が学生の頃は、パーソナルコンピュータは憧れの機器だった。この思いを多くの人たちに届けようとウィンドウズというソフトウェアを開発した。これにより、今の子供たちは学校でパソコンを使った授業ができるようになった。これからは、キーボードでパソコンを使う時代から、ペンや音声などを使ったものへ変化していく。経済は悪化しているが、コンピュータのチップは急激に進化しているので、この世界の科学には夢がある。皆さんにもパソコンを使ってさまざまなチャンスをつかむことができるでしょう」と述べた。

 見学した授業については、「ワイヤレス環境で行う授業にはとても勇気づけられた」と感想を語った。

 質疑応答では、同区立練成中学校2年生の福井悠生さんが「私もマイクロソフトが開発したゲーム機『Xbox』やウィンドウズを使っている。このゲームやソフトの開発にはどのくらいの時間がかかるのか」との質問に対し、同会長は「Xboxは2年半、ウィンドウズはバージョンアップに3年の歳月が必要。今度は、ウィンドウズXPの後継版として現在、『ロングホーン(開発コード名)』というソフトの開発にも力を入れているところだ」と、同社の宣伝も忘れていなかった。

 同会長はこの後、日本で電子政府・自治体の政府関係者らと会い、オープン化待望論が広がり守戦に回っている同社の立場を優位に進めるきっかけをつかもうとしたと思われる。そのため、この日の学校訪問はそのデモンストレーション的な意味合いがあったと言える。

 一方、ブロードバンドスクールコンソーシアムでは、岡山県の小学校2校と同区内の全小学校にノートパソコンを無償支給し、学校内に無線LAN端末を設置したブロードバンド環境でコンピュータを教育利用する実証実験を行っている。今後の実験報告は同コンソーシアムの公式サイトで公開している。

 ブロードバンドスクールコンソーシアムのアドレスはhttp://broadbandschool.jp/
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