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パナソニックネットワークサービシズ 法人向けISP事業を拡大 音響・映像の技術力を活用

2004/05/17 20:47

週刊BCN 2004年05月17日vol.1039掲載

 インターネットサービスプロバイダ(ISP)「パナソニックhi-ho」などを展開するパナソニックネットワークサービシズ(山本雅通社長=写真)は、ISPを利用した法人向けインターネットソリューション事業を拡大する。現在、売上高に占める割合が2割程度の法人向け事業を3年後には5割にまで高める。山本社長は「音響・映像の技術力を活用した独自のISP事業を創出する」と、松下グループと連携したサービスを強化する方針だ。

 パナソニックネットワークサービシズは、「パナソニックhi-ho」(1995年開始)の事業領域を拡大することを目的に今年4月1日に松下電器産業から分離・独立した。コンシューマ向けのコンテンツ配信に加え、得意分野の音響・映像と松下グループのネット家電と連携したインターネットソリューションのほか、法人向けにeコマース、専用サーバーのホスティングなどの事業を手がける。

 法人向け事業では、インターネット上で小額課金ができる動画配信ソリューションが劇場やスポーツ放送会社などに広がりつつある。4月からは、毎日放送(大阪市)と協力して、阪神タイガース球団の試合を有料でインターネットライブ配信する「MSBウェブスタジアム『阪神タイガースライブ!』」を開始。阪神球団の全試合がパソコンで見られるため、東京在住の阪神ファンにも人気がある。

 動画配信ソリューションでは、音響・映像のネット配信に加え、チケットをネット上で予約受付・発券できる「楽チケ」のシステムもオプションで付加できる。大阪の吉本興業が運営する劇場「なんば花月」では、松下グループの映像撮影部門と協力した映像配信と楽チケを含めたサービスを展開している。「松下グループの音響・映像技術を生かし、映画館や劇場、スポーツ運営団体などから、ソリューションの受注を増やし、法人向け事業の拡大につなげる」(山本社長)方針だ。

 パナソニックネットワークサービシズの法人向けビジネスとしてはこのほかに、企業のISPに関するシステム構築コンサルティングや顧客データベース構築サービス、ウェブサイト制作サービス、サーバーの低額ホスティングサービスなどがある。ISPの構築・運用ノウハウをシステムインテグレーション事業にも展開している。これまでに、大学や大企業など約100法人でシステムインテグレーション事業を獲得した。

 パナソニックhi-hoの加入者数は公表されていないが、現在、コンシューマ向けISP事業は売上高の約8割を占める。山本社長は、「コンシューマ向けの売り上げを維持して、3年後には、法人向けを売上高の5割まで引き上げる。システムエンジニア(SE)も増やす。話があればシステムインテグレータとパートナーを組み、法人向けに共同で取り組むことも考えている」と、他社との連携も検討する。同社の今年度(05年3月期)の単独売上高予想は63億円を見込んでいる。
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