【ソウル発】韓国が推進しているASP(アプリケーションの期間貸し)を活用した中小企業情報化政策がEU(欧州連合)の注目を浴びている。

 情報通信部によると、EU中小企業情報化協議機構である「eBSN(e-Business Supporting Network;ヨーロッパeビジネス支援ネットワーク)」は、11月19日ローマで開かれた第6回ワークショップに韓国代表を招き、ブロードバンド普及とASPによる小規模企業ネットワーク化事業について紹介した(小規模企業は正社員5人以下の企業)。

 EU会員国と候補国が参加する「eBSN」に韓国政府が招かれるのは異例のことであり、この5月に経済協力開発機構(OECD)が紹介した韓国のIT政策にヨーロッパでも関心が高まっているためではないかと見ている。

 ASPを利用している韓国の小規模企業は2003年の16万社から04年10月時点では33万社に大幅増加し、小規模企業全体の11%にのぼっている。EU代表らは、「韓国のASPモデルは一定の成果を上げた具体的な事例。ヨーロッパでも十分導入できる」と、情報交流と協力を積極的に要請している。

 この説明会に参加した情報通信部関係者は、「5人以下の小規模企業が各国経済に占める割合が日々増加しているなか、小規模企業の情報化に成功した韓国のASPモデルはヨーロッパのベンチマーキング対象になる十分な価値がある」と述べている。

 韓国企業のASP導入の背景としては、インターネットの普及、市場対応時間を争う経営環境のデジタル化、短くなったソフトウェアのライフサイクルなどがある。また、IT人材不足と費用削減のため、中小企業ではシステム管理者を雇わず誰でも利用できるASPを導入している傾向も強い。輸出中心で世界各国とのやり取りが多いため、企業独自のシステムよりも效率的でグローバル化しやすい標準化されたASPの必要性も増している。

 韓国の中小企業庁は、「企業は、ネットワークを活用し消費者が望むことをより早く適時に提供することで、熾烈な競争環境のなかで生き残れる。このような経営環境の変化に対応するには、時間がかかるシステム開発よりもアプリケーションをレンタルするASPの方が效率的」と見ている。

 韓国情報通信産業協会が実施した「国内ASP産業普及実態及び需要調査」によると、韓国のASP市場規模は03年1071億ウォン(約107億円)、05年には3790億ウォン(約379億円)と、ようやく本格的な成長が始まった。企業の80%以上が「ASP」の意味を知っていると答え、アプリケーション別サービスASP導入予定はERPなど基幹情報システムが35.6%で最も多く、グループウェア・電子決済31.6%、CRM(顧客情報管理)・SCM(サプライチェーンマネジメント)31.3%、オフィスプログラムなど個人用システム19.2%の順だった。すでにASPを利用している企業の追加導入予定が利用していない企業に比べ高く、業種別ではサービス、金融・保険業のASP導入意思が高かった。

 その一方で、やはり「ASP不信」が課題として残っている。サービスのセキュリティ、会社の情報流出が怖くASPを利用したくないと答えた企業は40.1%だったが、ASPを利用している企業の不信は20%以下にとどまった。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)