写真で探す画像付きマップ検索。米国の3Dデジタルマッピング分野では、グーグルが昨年10月に買収したキーホール社の有料サービスがその草分けとして有名だが、1月27日にはアマゾンの子会社、A9が新たに店頭と左右の街並みを写真で収録したイエローページの無料サービスを開始、いよいよ身近になってきた。

 筆者が図書館でワイヤレス接続に四苦八苦する初老の男性を助けたら、「お礼に面白いものを見せてあげる」と言うので誘われるままにパソコンを覗いてみた。地球が1個あるだけのシンプルな画面。左のバーには何やら住所が並んでいる。

 「ここをクリックして」と言うからそのうちの1つを押すと、画面はあっという間に大気圏外から雲を割って北米大陸にズームイン、白いかまぼこ型の建物に着地した。

 「これは今われわれがいる図書館だよ」

 これが噂の「キーホール2 LT」(年間使用料29ドル95セント)だ。3Dデジタルマップ分野のエキスパート集団「キーホール」(2001年創業、本社・米カリフォルニア州、http://www.keyhole.com/)が作り出した世界最先端の写真地図検索ソフトである。カバー地域は地球規模。CNNなどは戦争勃発地域の地理的な状況をこれを使って確かめている。

 「今なら7日間無料トライアルできるから君も試してみるといい。私は海外の取引先が多いから、こうして会社周辺の様子が一目で分かるのはビジネスを進める上でとても便利だよ」

 この1月末にはアマゾンの子会社でカリフォルニア州パロアルト市に本社がある「A9」(03年10月創業)が類似の写真付きイエローページの新サービス開始を発表した。

 こちらはキーホールのような高度なデジタルマッピングではなく、スタッフを人海戦術で差し向けて通りを1本1本撮影するという原始的手法によるマップだ。

 さすがにアフリカのマラリア多発地域やイラクなど、地球全土にスタッフを送る余裕はなかったとみえ、とりあえずはニューヨークやロサンゼルス、シカゴ、サンフランシスコなど10のエリアを対象とした。無料だから使う方は気が楽だ。

 ユーザーが探したいお店の名前や業種を入力して検索ボタンを押すと、最寄りの店がマップ上にアイコンで表示される。

 そこまではヤフーと一緒だが、A9では店名と住所、電話番号、URLの基礎情報と一緒に店頭の写真と店の両隣に続く街並みの様子を捉えたミニ画像も表示される。もっと大きな写真で見たければミニ画像をクリックする。通りの名前や番地がうろ覚えでもおおよその立地から判断して1本1本通りを目で確かめながら目的の店を探すことができる。初めての場所でも曲がり角を目で記憶に焼き付けておけば迷う心配がない。

 「写真は、どんな方法よりも速く情報を伝えてくれる。場所は覚えているが名前が思い出せないというのはよくある話。これなら簡単にそれを見つけ出すことができる」と、A9のウディ・マンバー社長は語る。

 欧州では、風光明媚な街並みを一望できるフランステレコムの無料写真付きマップ検索「Pages Jaunes」(http://photos.pagesjaunes.fr/)が有名だ。

 「フランスの住所なんてまったく知らない」という人も、トップページのフランス全土地図から見たい地域を適当にクリックすれば、3回ぐらいで美しい建物や車、道行く人々の日常風景が出てくる。どこを切り取っても絵になるのは、さすが芸術の都。

 米サンノゼマーキュリー紙は、「スターバックスの前にいてA9に撮られたら、その姿が永久にインターネット上に残るということだ」と、A9の新サービス開始を伝えた。

 確かに問題は、個人の画像などプライバシーに関わる部分にありそうだ。(市村佐登美)