TDKマーケティング(牧野利彦社長)は、法人向け市場の開拓を再強化、現在の売上比率10%を「今年度中には20%にまで引き上げる」(牧野社長)方針を打ち出した。同社はTDKの国内マーケティング担当会社として2001年4月に発足。記録メディアを中心に各種の販売ネットワークで商品を流しているが、「記録メディアは、DVDが多用途ディスクと訳されるように、いろいろな用途に使える方向に進化している。しかし、販売する側からいえば、これは大きな問題。各種メディアのユーザーを合計した延べユーザー数は減少傾向にある」という。こうしたなかで、法人市場を開拓することで、成長路線復帰を目指すのが、5月に社長に就任した「牧野戦略」となる。

 TDK本体の昨年度(05年3月期)決算は、連結ベースで売上高が前年度比0.3%増の6578億5300万円、営業利益は同5.9%増の598億3000万円、純利益は同6.8%増の449億4800万円だった。部門別では、電子素材部品は同4.9%増だったの対し、記録メディア・システムズは同17.2%減の1126億3900万円にとどまった。

 TDKマーケティングは、記録メディアの販売をメイン事業にしている。同社は記録メディアを、オーディオテープ、ビデオテープ、光メディア、その他としてくくっているが、「オーディオとビデオテープは光メディアへの世代交代が進んでいるため、構造的に需要が縮小している。光メディアは伸びてはいるが、価格の下落に加えて、大容量化と多用途性のために、総ユーザー数の拡大という面では限界がある」(牧野社長)という。

 そうしたなかで、「残された巨大市場」と見ているのが法人市場だ。「法人向けのルート自体は持っているが、これまでは当社の方から積極的に働きかけてこなかった面もあり、現状の売上比率は10%くらい。ユーザーの購買動機に合わせた販促資料の整備や提案を行うことで、現在のルートの活性化が図れれば、売上比率20%は早期に達成可能」(牧野社長)と見ている。

 同社は、DVDメディアでは「超硬(スーパーハードコート)」という技術を持ち、「キズに強い」、「チリ・ホコリに強い」、「ヨゴレに強い」をキャッチフレーズにしているが、「実はこの特徴は法人ユーザーに最も合っている。警視庁、図書館など一部業務用途では高く評価され、まとめて購入してもらっているが、こうした事例を増やし、認知度を高めていく」(牧野社長)活動を積極化させる。

「デジタルは差別化しにくいとよく言われるが、私はそうは思わない。ユーザーの要求にきめ細かくこたえる差別化策はいろいろあので、開発に力を入れ、提案していく」というのが牧野社長の考えだ。