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共通XML/EDI実用化推進協議会設立準備会 中小企業向けEDIのフレームワーク開発着手へ

2005/09/05 12:36

週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載

 共通XML/EDI実用化推進協議会設立準備会(和田英男代表=ERP研究推進フォーラム理事長)は、今年10月をめどに「共通XML/EDI実用化推進協議会」を設立し、中小企業向けの「共通XML/EDIフレームワーク」の開発に着手する。来年4月から同フレームワークを活用した実証実験を始め、同10月からの実用化を目指す。大企業や中堅企業に比べ、EDI(電子データ交換)の利用が進んでいない中小企業向けのEDI共通基盤を提供することで、ITを活用した産業全体のバリューチェーンの底上げを狙う。経済産業省の「IT経営応援隊」などとも連携する。

来年10月の実用化目指す

 共通XML/EDI実用化推進協議会設立準備会は、異なるアーキテクチャのシステムを結びつけるXMLウェブサービスなどの技術を駆使し、業界の壁を超えた中小企業向けの「共通XML/EDIフレームワーク」を開発する。同フレームワークは電子商取引推進協議会(ECOM)を通じ、eビジネスの標準化を推進する非営利の国際コンソーシアム「OASIS(オアシス)」(本部・米マサチューセッツ州)に働きかけ、国際標準化を図る。

 これまで大手・中堅企業を中核とした業界別のEDIシステムは存在していたが、中小企業が自由に利用できるEDIはなかった。設立準備会では、中小企業が廉価なコストで利用できる共通XML/EDIフレームワークの実用化を図ることで、中小企業の国際競争力を高め、産業全体のバリューチェーンの拡充を推し進める。

 設立準備会では、大手企業などがすでに導入しているEDIシステムと共通XML/EDIフレームワークとを接続するためのデータセンターを複数開設する。ここでデータ変換を行うことで既存EDIとの互換性を維持する。中小企業にはASP(アプリケーションの期間貸し)方式で提供するため、個別のシステムを導入する必要はない。

 データセンターの運営は、すでにデータセンター設備を持っている事業者に参加を呼びかけ、将来はこれら事業者自らのビジネスとして継続できるようにする。大手システムインテグレータ(SI)や情報処理ベンダーなど、複数社が参加の意向を示しているという。

 普及には課題もある。共通XML/EDIフレームワークは、誰でも簡単に導入できるASP方式で提供するものの、実際にはEDIでやり取りしたデータを基幹業務システムとシームレスに連携させてこそ業務の効率性が一段と高まる。これにはEDIや基幹業務システムに精通し、中小企業からの要望や問い合わせに十分対応できるITコーディネータやSIなど、人的な協力が欠かせない。設立準備会では、解決手段の1つとして、経済産業省がITを活用した中小企業の経営革新を推進する目的で全国的に組織化を進めている「IT経営応援隊」など、中小企業のIT化推進団体との積極的な連携を予定している。

 実証実験が始まる来年4月からは、中小企業の中でもEDIの利用率が流通業などに比べ比較的低い製造業の分野から普及を促進する。主なターゲットは、国内中小製造業者のうち従業員5-300人規模の約35万社で、その後、順次他の業種へも展開する。

 中国などアジア諸国・地域の生産力が向上し、国内でも系列取引の枠組みが曖昧になるなかで、国内中小製造業は従来のように特定の取引先向けの大量生産モデルでは競争力が維持できない。付加価値の高い商品を少量多品種で複数の取引先に供給する仕組みが求められており、共通XML/EDIフレームワークを「国内中小企業が生き残るための取引基盤」(設立準備会の和田代表)に位置づけていく。

 今年10月に設立予定の「共通XML/EDI実用化推進協議会」では、半年間の開発期間を経て、来年10月の実用化に向けて同4月から実証実験に入るとともに、中小企業へのEDI利用促進を後押しする人的リソースの拡充に力を入れる。同時に国際的なデファクトスタンダード(事実上の業界標準)化を働きかけることで、業界や国境を越えたバリューチェーンの活性化につなげていく。

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