【ソウル発】三星電子は、急成長を遂げているロシア地域のデジタルTV需要に対応するため、現地に新工場を新設する。5700万ドルを投じて、モスクワから南西に85km離れたカルガ州ポルシノ工業団地内に5万9000坪の工場を建設する。2007年7月に着工し08年10月に竣工する計画。2010年には年間220万台のデジタルTVを生産する。

 現在、三星はデジタルTVの世界的な需要増に素早く対応できるように韓国、メキシコ、中国、スロバキア、ハンガリー、タイ、インドネシア、ブラジルの世界8か国にTV生産拠点を構え、デジタルTV世界シェア1位としての地位を強化している。

 一方、同社は韓国光州(グァンジュ)にある家電工場のメキシコ、ヨーロッパへの移転説については否定している。07年3月、李健煕会長が「生活家電は韓国内でするべき事業ではない」と発言したことから、北米、ヨーロッパのプレミアム家電市場を攻略するため、北米地域に第2白色家電工場を、ヨーロッパ地域にはプレミアム家電工場を新設しようと積極的に検討しているとの噂があった。だが同社は、公式にこの移転説を否定している。

 しかし、同社が否定しても、家電工場のある光州では地域経済に悪影響があるのではないかと自治体までが対策を急いでいる。光州工場は、光州経済の20%を占めるほど地域の命綱になっているためだ。地域内に107社もの下請け会社をかかえ、06年の地方税28億ウォン(約3.8億円)、法人税110億ウォン(約15億円)を納めているので、工場がなくなると自治体の税収にも響く。

 三星電子の広報チームは「内需と中国および東南アジア市場に集中していた事業戦略を修正、北米とヨーロッパ市場を攻略する計画があるだけで家電工場の移転はない。韓国では内需と輸出向けのプレミアム製品を中心に生産するので、海外に工場が増えても影響はない」と話した。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)